見出し画像

怒りの暴走

ショッピングモールのスポーツ専門売り場で母親の怒鳴る声がした。
どうしたのだろうとそちらに目をやると、子供がスポーツシューズを試着していた。
「これでいいの? 分からないんじゃ始められないよ! やらなくていいんだね!」
と、ものすごい剣幕で子供に怒っていた。
多少ならずとも私にも子育ての経験があるので、母親の気持ちが分かる。
分かるのだけれども…

そこは敷地の広いショッピングモールなだけに、歩く距離は多い。しかも日曜日の午後で大変混雑していた。
子供も母親も疲れている。
何かの習い事を始める前に、あらかじめ必要な物を取り揃えている様子。
子供がシューズを履いて、母親が履き心地や色の好みなど聞いても子供の曖昧な返事に苛立ったのだろうと推測した。

しかし…しかし…そこは…親がグッと堪えるところ。
公共の場で怒鳴ってはいけない。
接客している店員さん、周りの人を不穏にさせる。
感情的に怒られている子供は自己肯定感が下がる一方。
なにしろ母親のメンタルが悪い方へ転がっていく。
負の連鎖が起こる。

私にも経験がある。
感情的に怒りだけが飛び出してくる感覚をどうにも止められなかった。
あのショッピングモールで見た母親と同じ。
自分を恥じた。


うちも親子ゲンカをよくするのだけれど、もう子供が聞く耳を持たなくなってしまうと自分の部屋にこもってしまう。
私は子供の言うことを深く掘り下げて聞けないみたいだ。
言えなくさせてしまう言い方を私はしてきたのかもしれない。
口では言わないが子供は多分、私より分かっているのかもしれない。
生きてきた年数はあっても柔軟になれない。
頭では分かっていても感情が先に立ってしまう。
どうして大人になると意固地になってしまうのだろう。

“親は子供の見本とならなければ”という思いが、自分を正当化して子供にその思いや価値観を押し付けてしまっているのか。

傾聴力のない親(私も含め)は、自分を知るところから始めないと良い親子関係が作れないということかもしれない。

・*・..。o*゜゚*・..。o*゜゚*༄

怒られていたあの子、お母さんの顔色を伺わないで自分の意思を持って生きていってほしいな。

お母さん、あなたは一生懸命やっているよ。もう少し肩の力を抜こうね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?