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【孝寿とかなえの出会い】輝ける方法 スピンオフ 西園寺孝寿編 2

「クソッ!!」
 孝寿は今まで自分のしてきた事は何だったのか、操り人形だったのか…ショックを隠し切れないでいた。
 頭に血が上ってとりあえず荷物をバックに詰めた。とっさに家を出ると言ってみたものの行くあてもなかった。
 どこに行きたいというのもなく、自分には何もできないという不安が孝寿を襲っていた。ただ悔しいと心の中で叫んでいるだけだった。

 通りですれ違う誰もかれもが自分をあざ笑っているように見える。
 親の引いたレールに何の疑いもなくきてしまった。
 孝寿は、親と親の金だけで生きてきた自分の人生を恥じた。自分の人生は自分で切り開きたいと、信念のようなものが体の中で渦巻いていた。

 大通りを歩いていると食べ物屋が目に入ってくる。お腹が空いていることに気づいた。
 ファミレスのガラス越しに楽しそうに食事をする家族が見えた。お父さんとお母さんと小さい男の子の三人だった。
 お母さんが男の子のハンバーグを切り分けている姿、その向かいにお父さんがにこやかに男の子とおしゃべりしている。
 自分にもそんな時があったんだよな…と孝寿は切なくなった。
 親から独立したい気持ちがあってもまだ、心の中は親を求めている。孝寿の中に相反する気持ちが交錯していた。

 カバンを肩から下げ空腹に堪えながらもフラフラと夜の街を歩いていると、地下から歌声が聞こえてきた。
 その地下にあるライブハウス兼レストランバーからお客が出入りするたびに歌声が漏れて聴こえてくる。
 吸い寄せられるように孝寿は地下へ続く階段を降りて行った。

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