見出し画像

笑顔のギブ アンド テイク

先日、親戚の法事に出席した。
そのお食事会の時、母は孫やひ孫たちにおもちゃを買ってあげようと声をかけたら、みんな大喜びしてレジ脇のおもちゃコーナーに突進した。

「こんな時しか孫孝行できないから」
確かに母は、孫やひ孫たちと頻繁に会えるわけではない。
でも、私にはモノで釣るようなことはしなくて良いのではないか? とも思ってしまう。

そういえば私の娘にもそうしてあげていた。
私は、「いらないよ〜 どうせ飽きてゴミになるんだから…」と
断り続けていたが、母は断固としておもちゃを買うのだった。

そのおもちゃを買ってあげる訳を知ったのは、つい最近のことだ。


母は昭和13年に生まれ、3歳の時に父親を仕事上の事故で亡くした。
母親に再婚の話が出たが、連れ子(母)には露骨に差別するようなことをされたため再婚はしなかったという。
シングルマザーの家庭で育った母は、一生懸命に洋裁の技術を学んで紳士服の縫い子さんとして家計を支えた。

母が言いたいことは
「子供同士差別をしてはいけないよ。寂しい思いをさせてはいけないよ。ものを買い与えるというよりは、おばあちゃんとの思い出を大切にしてもらいたいんだよ」

孫やひ孫と会えるのは年に1〜2回程度。
血の繋がりがあるとはいえ、コミュニケーション不足はままならない。でも、やっぱりかわいいのだ。
時間も限られている中でコミュニケーションを取る一番手っ取り早い方法が、おもちゃを買い与える行為なのだ。

母は孫やひ孫たちの嬉しそうな顔を見ては、シワくちゃの顔なんか気にもせずもっとシワが増えている笑顔になる。

それはそれは、幸せそうな顔なのだ。

今の世の中、独居老人が増え孤独死もある。
そんな中で母はなんて幸せな人なんだろうと思った。

自分の持っているものをみんなと分け合うといった精神は、自然に笑顔と人を連れて来る。
笑顔のギブ アンド テイク。
それは大きなエネルギーとなってもっと、輪が広がることを望みたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?