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売れるものは売れない

諸君は売れるようなものをお作りになるから売れない。売れないものをお作りなさい、必ず売れます。

岡倉天心

 なんともマーケティングの全てを否定するかのような逆説的な考えですが、これ、実は日本を代表する芸術家の言葉です。その名は岡倉天心。

岡倉天心とは何者か?

岡倉天心

 近代日本における美術史学研究の開拓者。英文による著作での美術史家、美術評論家としての活動、美術家の養成、啓発活動を行った方。明治以降、日本美術に貢献したフロンティアです。弟子はあの横山大観。一言で言ったらアートの巨匠ということになるでしょうか。

 そんな天心が残したのが先の言葉です。
売れたければ売れないものを作れとはなんとも逆説的なことをズバッと言い残されております。

 僕はこれを最初見た時に、「どゆこと?」ってなりました。でも、今ならわかる気がします。

ビジネスでもこの法則は同じ

 天心はアートという文脈でこの言葉を残しています。でも、これ、ビジネスでも同じだとおもうのです。確かに売れるものを作っているようではだめだと僕も感じます。

 というのも「売れるもの」というのはすでに相手の心の中にそれがほしいと芽生えているもの。だから、同類のものがあふれるし、当然、違いもわからない。

 違いがわからないということはどういうことか?
価格競争になりやすいってことです。売っても売っても実入りがなく、どんどん売るのも大変になっていく。つまり、売れないわけです。

売れないモノの可能性

 一方、売れないモノ。つまり、相手が価値を感じにくいものはこうはなりません。相手が価値を認識しにくいということは相手にとってものすごくメリットをもたらす可能性があるのです。もちろん、ホントの粗悪品ではだめですが…でも、ちゃんと相手のことを考えて作られたものはそうではありません。

 価値を感じにくいということは相手にものすごいメリットをもたらす可能性が高くなりやすいです。

売れないモノが価値高い理由

 なぜそうなるか?それは、自分が困っていることのことを考えたらわかるはずです。

 例えば、ギターが弾けない人の中にはめっちゃ努力しているけどなかなか思うように弾けない人がいます。そう言う方は得てして勉強家です。市販の本なんか大抵知ってるし、youtubeのギターレッスン動画なんかも散々見ています。しかし、ギターが弾けない。

 これは何を現しているのでしょうか?
これは、その人の思いがけない部分に解決策が眠っている、ということを現しているのです。

 でも、多くの人はここに気づけません。うまくやれない自分が納得する解決策…つまり、「うまくいく」と想像できる解決策に飛びつくのです。

 ギターに限らずダイエットとかでもそうでしょうね。ビジネスもそうかも知れません。要はなかなか解決しない問題がある、ということは自分が思いがけないところに答えがある、というサインなのです。

 でも、人は自分が「うまくいく」と想像できる解決策に飛びつくのです。そして、失敗を繰り返し、挫折するのです。

 これを先の「価値」という視点で見つめ直すとあることがわかります。
問題を抱えている人が想像できる解決策とは「自覚できる価値」のことです。でも、それでは救われません。何故なら問題を解決出来ない脳みそでイメージ出来る解決策だから。

 でも、問題を抱えている人が想像できないまさかの解決策なら?とてもじゃないけどそれが効果あると信じられないような解決策なら?その人は助かる可能性が少なくとも「自覚できる価値」よりかは高いのです。でも、その場合は解決できると信じられないから手にする可能性は低い。


 ここで岡倉天心の話に戻しましょう。天心はこう言っているわけです。

諸君は売れるようなものをお作りになるから売れない。売れないものをお作りなさい、必ず売れます。

岡倉天心

「売れるようなもの」とはなにか?それは明らかに相手が自覚できる価値の事。では「売れないもの」とはなにか?それは相手が自覚できない価値。想像も及ばない価値なのです。売れるモノ=知覚的価値、売れないモノ=本質的価値とも言えるかもしれません。だから、人が本質に気づけば売れないものは売れるようになる。

 でも、人が本質に氣付く、本当の価値に自覚出来るまで待っていたら僕たちのビジネスは成り立たないですよね。ならばどうするか?

人が本当の価値に氣付くまでの時間を短縮させるモノがマーケティング

 自覚させてあげればいいわけです。それこそが僕はマーケティングだと思います。

 〇〇という問題を突破するために本当に必要なモノは◯◯という理由でこれなのです、と教えてあげる。

 そうやって相手の問題を解決するために本当に必要なことを教えてあげる。これが出来たら天心がいうことはまさに僕たちコーチには金言となるはずです。

コーチは販売を含めたマーケティングを学んだ方がいい

 僕たちコーチは自分が売り物です。自分の価値というのは何もしなければ相手に伝わることはないでしょう。自分の志、理想、思想、やり方、今曲げの経験、自分の歴史等々、伝えないと相手は僕たちの価値を理解することはないでしょう。

 僕たちコーチは相手に寄り添い、相手の問題解決を真摯に願い、助力し、相手に力をつけさせる。そのために必要なコトはすべてやるのです。信用信頼関係を構築することも、本当の価値をつたえるマーケティングも。特に独立してコーチをやるなら自分でマーケティングや販売セールスをする必要があるから、ここはしっかり向き合うポイントだと思います。お互いに精進してまいりましょう。

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