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停滞とか代価とかでもなんとかやっていけるように

10/1
山に篭って、明日からの公演の準備の手伝いをする。
もともと民家であった場所を片付け、劇場仕様になった「アトリエ」という場所。ある一室にふかふかの人工芝をひき、大きなテーブルを置き暫定的に「談話室」と呼んでいる場所で、川のせせらぎというよりも轟音に近いザーという音と、劇場から聞こえてくる俳優と演出家のやりとりを1/4くらい聞きながら作業をする。
山はいい。暮らしているエリアから離れているというだけでいい。
「場所を変えるって本当にいいんですよね」と、ちょうど先週歌を歌うひとと「天ノ流」というかっこいい名前の茶を飲みながら話したことを思い出す。

先週は何か調子が良くない日が多く、単純にとても動いて疲れていたのもあるのだが、腰を痛めてよろよろとしたり、また洗い物を溜めてしまったりと良くない感じのまま過ごした。しかし仕事はしなくてはいけないし、稽古や演劇の情報公開の準備もしなくちゃと、自分の心の優先を忘れるような過ごし方というのか。
情報公開というのは本当に恐ろしいことで、でもいつも何かを表現するときは、さまざまな方向に対して緊張や恐怖を感じてからだをカチカチにしているもんな。安心を求めるなら何もしないに限るし、コスパを追求したらもう生きない、に到達してしまうのだ。わはは。

いやそれもどうなんよがんばれと、腰痛の悪化とともに、このままではだめだと思いながら昨日はスーパーに梨を買いに行った。気づいたら一週間ぶりの買い物で、またたくまだ、と思った。今、そういうやりかたぐらいしか自分をやさしくする方法が思いつかなくて、梨はふたつ買った。今朝食べてみたらしゃくという音がしておいしかった。

10/3
稽古して、夜はパスタを作って食べた。
ひき肉と玉ねぎでミートソースを作っておけば、何日かは簡単にパスタが食べられるのでいい。おすすめです。

10/5
安いコーヒー粉をあけてみた。深煎りが好きで、酸味が好きじゃないのでアイスコーヒー用を買ってホットで飲んだらなかなかいける。
粉のコーヒーを買うなんていつぶりだろう。必ず豆を買って、手動か電動のミルあるいはグラインダーでコーヒーを淹れていた。
でも節約と、あと精神的な億劫さがまさるとき、粉であるだけで楽だということに気づく。意外とおいしいし。
そして、ドリッパーは円錐形仕様なのだが、家に円錐形のフィルターがなく、カリタとかのフィルターで代用した。ドリッパーとの相性はそんなに良くないのだけど、でもそれでもコーヒーは淹れられるんだ。

ナイスカットGを買い、いい豆を挽き丁寧に淹れる、なんてことをせずとも、そういう代価でもおいしいじゃんと満足できる自分がいることに安心する。とはいえナイスカットGは年始に買っちゃってキッチンで光り輝いでいるので、まあときどき使う。てへ。

置きチラシ等の手続きをするために柳田さんと行動して、すき家のカレーを食べる。

10/6
わたしたちは人の影響の及ぶどこからどこまでを暴力と名づけるのだろうなと思う。
たとえば私が子どもの頃、というかわりと近年実家に帰ったときも、精神疾患を持つ母が不調でご飯が食べられないという日があって、なんとも言えない空気の中で、あるいは泣く声が聞こえる中で食事をしていた。
週に一回くらい、あるいはもっと連続した日を「食べない人がいる」ことが記憶に残っていた。
なんとなく先日食事に関する会話をしていた中で、それを思い出してしまい、そして声に出してみた時、真空パックみたいに保存されていた悲しさがワッと出てきて、自分はそこを傷にしていたことにやっと気づいた。

でも母は「食べられなかった」だけで、おそらく一緒に食べたくないわけではなかったと思う。それができるならこんなになってないよと。
かなしさや調子の悪さが先んじていただけで。私はその状況に対して、状況を変えるすべをもたないことに対して、日によっては、なんでそういう姿になってしまうんだよと思っていたなとか。

母なのに、という呪いをとくのは結構むずかしい。ただしい距離はどこで、そこに起きているのは被害なのかというとそうじゃないのに、かなしさをまとっているので気を抜くと被害者然としてしまう。

そういった、些細な積み重ねを大人になって回想したときに、それでたとえば母ではない別の親しい人が「食べない」と言うことに反応して辛くなったりしていたのだ。不思議だなと思う。

よかったらあなたと一緒に食べたいと言えたらよかった。いや言えないかな。「元気を出して」なんて最も空虚でこちらの意思に従わせる行為をできるわけがない。言ったところで仕方ない。いや、今はそうは思わないかもしれない。
わかっちゃいるけど。わかっちゃいるからむずかしい。気にしてないふりをするか、黙って座っているしかできない。その繰り返しがどんな気分なのかを、わかってほしかったのかもしれない。わかるはずもないのにね。

涼しくなってきたからあったかい飲み物がおいしい。
軽率に珈琲とか紅茶とか淹れて飲もう。

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