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図書館にあった出会い

図書館には色々な出会いがあると思うんだ。


僕の見たことない世界。
過去、現在、未来の時間軸の中にある世界。
想像の世界。


本っていうものはいつも僕を新しい世界に連れてってくれる。


だけど、今日は本がつなげてくれた世界とはちょっと違う出会いの話。



あれは去年の9月くらいだった気がするんだよね。

図書館でいつも通り本を読んでたら、


「それ見せてもらえますか?」


そこには全く知らない人が立っていて、
正直自分が話しかけられてるとは思いもしなかった。


友達と会う約束をしてたから、
そいつかとも思ったけど性別が違う。


性転換でもしたのか、、、


そんな訳ないはず。


とにかくびっくりした。
その人は帽子をかぶって、手には白い本を持っていた。


「宗教にでも勧誘されんのかな?」


ま、宗教勧誘ならいつも通り
相手が呆れるくらい宗教の話をすれば
問題ないな。


無視するのも感じが悪いと思い、


「いいですよ」


僕が本の栞にしている、
ジブリの森美術館の入場券を見せた。


「トトロですね」


いや、それコクリコ坂なんだけどな。
ま、小さなフィフムのどこかわからないカットから気づくのも難しいか。


話をしているうちに、
だんだんと素性が見えてきた。


国文学専攻の4年生らしくて、
机の上に勉強道具が1つもなく、
カフェラテとタバコとスマホだけ置いてあって、態度悪く本を読んでいる僕が珍しかったらしく声をかけてみたらしい。


「いやいや、そんなやつに普通声かけないだろ、、、」


もちろん僕のことではあるけど、
僕でも、もの珍しさでそんな態度のやつには声をかけない。


そんなことを思いながら、
話していたらそこではバイバイすることになった。


彼女は詩を書いているらしく
有志で作っている雑誌を薦められたので読んでみることにした。


「なかなか面白いな。」


普段これほど近い年齢の人の世界観に触れることは少ない。


父親が入院してるときに言っていたことを思い出した、


「こんなに本が面白いと思わなかった。この作家年齢が近いから言ってることに共感できるんだよね。」


それに近い感覚だったのだろうか。
とにかく、文章から感じ取れる感覚を自分の言葉でメモ書きしてみた。


「せっかくだから感想を言いたいな。」


ここで重要なことに気づいた。


「あれ?連絡先交換してなくね?」


そーいえば初めて会った日、
お別れするときお互いにいつもいる場所を言って別れただけだった。


とりあえず、研究室によくいると言っていたので国文学の研究室に向かった。


そこに彼女はいた。
少しお話をしてから詩の感想を述べると


「その感想が書かれている紙印刷させてくれない?」


恥ずかしかったが別に隠すものでもないので了承した。


ここから彼女との文通が始まった。

ちょっと待て、
「文通?」
この通信手段が発展した世の中において文通?


何度か会っているのになぜ連絡先を知らないんだ。

ま、なんとも趣深いではないか。
やましい感情はなく、自分が文通していることに感動した。


そんなことをしているうちに、
連絡先を交換してちょいちょい会うことになった。


不思議な人だった。
僕が普段話せないようなことも
彼女は共感してくれた。


だって、論文読んでて興奮したとか言ったらみんな引くでしょ?笑笑


9〜11月くらいの短い期間だったけど
彼女と会って話すのは本当に楽しかった。


こんなに近い感覚を持ってるなって感じるのは、同じ専攻のやつだけだったから。


やっぱり、文学部には変人が多いと思う。
でも、それが魅力でもある。


人はみんなそれぞれ世界観を持っていると思うけど、文学部の人たちはその世界観がとてもはっきりしている。


話はそれてしまったが、
図書館にはそんな不思議な人との出会いがあった。


彼女は、


「現代の魔女になる」


と言っていた。
11月以来会うことはなくなってしまった。


あれは彼女の魔法だったのだろうか。


元気にしてるのかな。


また、魔法にかけられたいものだ。

読んでいただきありがとうございます。 僕の世界を広げるものに使わせていただきます。