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勝手にふるえてろ

今日は好きな本について書いてみようと思う。

綿谷りささんの『勝手にふるえてろ』という本が、私は大好きだ。
本屋さんに行って、このタイトルに惹かれてしまい、内容など全く見ずに即買いしてしまった。
私は大体タイトルに惹かれたり、表紙がセンスいいなと思った本を、内容を一切見ずに買ったりするのだが、そういう買い方すると案外失敗しない。
この本もしかりで、めちゃくちゃおもしろかった。

基本この本は主人公のヒロイン・ヨシカの独白調で語られる。

面白い本というのは、作者の心を掴む一文が冒頭から出てくるもの。
フランツ・カフカの変身の「朝起きたら、僕は虫になっていた」みたいに。
この本もそうで、冒頭から「私には彼氏が二人いて」という興味深い一文が出てくる。
まずこのつかみでグッときてしまう。
なんだなんだ?と読み進めていくと、彼氏なんかいないということが分かってくる。
なんだ、全部ヨシカの妄想なんじゃん!
モテない女の子の話しだったじゃん!
なんだなんだ、はっはっはっーとヨシカのことをバカにしながら読み進めていくと、次第にヨシカと自分の距離が近づいてくる。
最終的にはヨシカと自分がフュージョンして、一体化する。もしかして、ヨシカは自分なんじゃないか?ヨシカは自分で、自分はヨシカで、Who am I?私は誰?ここはどこ?状態になる。
あんなに小バカにしていたヨシカを最終的には腹の底から「がんばれー!ヨシカー!」と応援してしまう。両手を握り拳にして腰を落とし、声も枯れんばかりに「がんばれー!!」と応援してしまうのだ。
本を読んでいた“私”は、途中で“ヨシカ”になって、終わりは“松岡修造”になる。
そんなお話しが『勝手にふるえてろ』である。
ここまで読まれた方は、この本のストーリーがよくお分かりになったと思う。(どこがだよ!)

勝手にふるえてろは、映画化もされている。
東京だと新宿武蔵野館とかで上映されていた。
TOHOシネマズとかじゃなく。
この上映館からもお分かりになる通り、この話しは、多くの人にウケる感じの内容じゃなくて、
ごく一部の、だけどある一部の人間にはめちゃくちゃ刺さる話しである。
私もその、めちゃくちゃ刺さる人間だったわけだけど、深夜ラジオ的な雰囲気と言いますか、
クラスで5軍6軍で教室の端っこにいた女の子に刺さる内容と言いますか、非常にお笑い的でホッとする内容でもあると思います。


P.S.
本の中のヨシカのセリフ「シンプソンズのバートみたいだね」が大好きです。
(だけど映画では「シンプソンズみたいだね」になっている…!映画に関してはそこだけ不満!)

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