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仕事の原動力は?

昨日ご紹介したブロードウェーの舞台プロデューサー、吉井久美子さん。6月3日のインタビューも読みごたえがあった。

ブロードウェーの世界は、私たちの想像を絶するほどの競争社会だ。そもそもニューヨークのペースと熾烈な戦いについては私自身、ずいぶん前に本で読んで知った。乳がんで亡くなられたジャーナリストの千葉敦子さんの書籍だ。「ニューヨークの24時間」や「ニュー・ウーマン」などに現地の様子が出てくる。

吉井さんも千葉さんも、そんなニューヨークで果敢に挑戦を続けることを選んだ。その原動力は、以下の一言でわかる:

「好奇心」

吉井さんは記事の中で「今でも原動力は好奇心」と述べている。トラブルだらけの現場であれ、途中で失敗してしまうプロジェクトであれ、それでも「やめたいと思ったことは一度もない」と。千葉さんもフリーランス・ジャーナリストという極めて収入不安定人生を選ばれたが、やはり好奇心に基づき、文を書き続けた。

学生生活を終えて社会に出れば、おはようからおやすみまでの時間(と書くと某メーカーCM)の大半を「仕事」に費やすことになる。私自身、フリーランス通訳業というのは、決して安泰ではないことを自覚している。でも、知的好奇心を満たしてくれるこの仕事は、私にかけがえのない幸せをもたらしてくれる。

先輩放送通訳者の袖川裕美氏は「同時通訳はやめられない」という本を出版された。まさにこのタイトル通り、私にとって通訳という仕事は「やめられない」くらいの生きがいになっている。

(日本経済新聞2022年6月3日夕刊)

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