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エッセイ:みんなちがって、みんなぼっち



ふうせん持った子がそばにいて、
私が持ってるようでした。

『ふうせん』金子みすゞ



正しさとは。
いいとは。
ほんとのいいとは。



人を尊重しましょう、その人の価値観を。
みんなちがう。
みんなちがって、それでいい。

みんなそれぞれに、「いい」がある。
みんなバラバラに、「いい」がある。
みんな正しい、風船を持っている。
みんなバラバラになる。

風船を持っていれば、
自由になれる。
空を飛ぶ、
わたしになれる。
ほんとのわたし。
わたしはわたし。
バラバラのわたしたち。
みんなぼっち。


ぴい、とどこぞで笛が鳴る、
まつりのあとの、裏どおり。

あかいふうせん、
昼の月、
でも春のお空にありました。


みんなにとってのいいがある。
正しいこと、
ほんとのいいがある。
足元にある。

あなたが今ここに、こうして有ることは正しい。
あなたを有らしめる場所、それが有ることも正しい。

場所があればいい、いつも。
いつも風船はいらない。
地から離れるから。
まつりの時だけでいい。
バラバラになるから。

みんなちがって、みんないい。
そのために、みんなのいいがある。
みんなの場所がある。
みんなの場所があって、
わたしたちがある。
それがいいということ。
あなたの「いい」は、場所から生まれる。

みんな同じ場所に有ると思えれば、
そういうみんなは、
みんなちがって、
みんないい。
風船はいらない。
いつもはいらない。
まつりの時だけでいい。
みんなの場所があればいい。
ずうっと。


ふうせん持った子が行っちゃって、
すこしさみしくなりました。