サナキダヨウイチ

ドストエフスキーと、人の考えに触れるのが好きです。独善は諸悪の根源、日々精進して参りま…

サナキダヨウイチ

ドストエフスキーと、人の考えに触れるのが好きです。独善は諸悪の根源、日々精進して参ります。

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エッセイ:感じることだけがすべて

例の通訳氏の話ではありませんが、「悪」に不寛容な社会は息苦しいなと。善悪よりも、実感を信じたい。 時間の喩え話です。 車を走らせている。 フロント硝子の向こうに見えるのが現在、過去はバックミラーから零れ落ちていく。未来はつねに先に「有る」。 知ることは叶わない。 今しかない。 ゆえに「私」は無知である。 過去も想起しているという今。今しかない、未来はない。 未来は、有ると仮定して初めて「有る」。 未来が有ると仮定して、アクセルを踏み込む。加速度を感じる、バックレストに躰が

    • エッセイ:裸の王様

      またどこぞの首長がセクハラだかなんだかで叩かれておりますが、会見で自身を裸の王様といったとか。裸の王様は、どんな組織にも集団にもおわしますね。 職場にも学校にも家庭にも、役所にも病院にも自分を世界の中心だと盲信している尊大で無謬のイタい奴はいるものですが、王様を支えているのは空気を読む側近ほか臣下であるとすると、空気を読むのは相変わらずでも、その空気が変わりつつあるのが昨今。キャンセルカルチャー、ポリコレ(政治的正しさ)について。 BBCの報道に端を発したジャニーズ問題は記

      • エッセイ:陰謀論でしょうか、いいえ、誰でも。

        情報の不確かさが不可逆的に拡大していく現代、「正しさ」とは相対的なものであるにしても、ますますわかりにくくなってきている。疑い得ないのは、生存ではないでしょうか。 不確かな情報 自身の肖像を無断で利用したフェイク動画の詐欺広告をめぐり、実業家がプラットフォーム運営会社を告訴するとか。生成AIによる動画はもう見ただけではフェイクかどうかはわからない。しかし情報の真偽が不明でも、生存している以上、自分の身は自分で守る、これは世の常であります。 聡明な皆様に置かれましては、確

        • エッセイ:傘がない

          巷に雨が降る。 と、 気が滅入るという人がある。音に聴き入る人もあれば、古傷が痛むという人もある。 匂いが好きな人も。 恵みに感謝する人もある。 降られる人を思う人も。 雨は雨でも、人それぞれ。 雨が降れば傘をさす。 とは誰か偉い人の言葉。 自明のことをなさいということらしい。 みんな傘をもっているわけではないのに。 自明とは、 論じるまでもない、あきらかなこと。 当たり前のこと。 傘のない人は、 当たり前のこともできない人。 とでも? 何も見えていない。 これだから偉い

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        エッセイ:感じることだけがすべて

          エッセイ:退職の思ひ出

          退職代行サービスを利用した若い人がその理由を尋ねられ、直接上司に伝えたが埒が明かなかったからだと答える。あなたの代わりは誰が埋めるのだと詰められたのだと。 屁理屈であります。 答えはハゲ、お前である。 だが責任をとるのは上司であるハゲお前一択であるとは言えない。相手は上司の何たるかさえ理解できていない馬鹿なので、言っても理解できないでしょう。 そら絶句しますわな。 責任とは責めを負うこと、なすべきことを引き受けることであり、代わりは誰が埋めるのかとは、この損失を補填すべき

          エッセイ:退職の思ひ出

          エッセイ:誠実さのかけら

          誠実さのかけらもない奴がいるんだ、今度会ってみないか。 と尋ねられ、顔が見てみたいもんだという気にはなっても、関わりあいたいという方はまずいないでしょう。 仕事であれ遠い親戚であれ、近隣住人であれ、友人の知人であれ、自分が関わる人にはせめて、かけらくらいは期待するものですが、誠実さのかけらすらない者を人でなし、人でなしとは人を人とは思わぬ者とすると、誠実さのかけらとは、人を人と思う心。 字引によると誠実とは、「私利私欲をまじえず、偽りや飾りのない真心をもって人や物事に対するこ

          エッセイ:誠実さのかけら

          エッセイ:道理の前で

          人は人として正しい振る舞いを求められますが、逸脱した者には、人は罰を与える。しかしあまり厳格だと自分の首を絞めることになりかねない。だから大目に見るということが、あってもいい。 世の道理、己の道理 あるスポーツ選手が試合に出場しただけで観客からブーイングを浴びる。移籍時に不義理を働いたからだという。人の世にあっては、筋とは、通さねばならぬもの。誰もが他者との関わりのうちに生きている。 ゆえに人は世の道理に従うことが求められ、求められるがゆえに人は道理を求める。 道理と人は

          エッセイ:道理の前で

          エッセイ:なかったことに

          ※つらかったこと、嫌だったことを、なかったことにしたい方はお読みにならぬよう、くれぐれも。 躓くのに、石はいらない。 生きていれば誰もが躓く。時には転ぶ。転び、転がり、転がり落ちる。落ちるときはどんどん落ちる。どん底まで、落ちることもある。 死がよぎることも。 死にたくなったら下を見ろ、俺がいる。といった映像作家がありましたが、ナイスですね。どん底まで転がり落ちた経験があればこそ、寄り添うこともできるのでしょう。誰でもこうはいかない。 老いや病、障害、怪我、死はひとが生

          エッセイ:なかったことに

          エッセイ:本質とは肯定である

          どこかの知事が職業によって知性が高いだの低いだのと失言し、叩かれましたね。知性とは人の根幹です。 考えるゆえに我ありが真であるのは、他者を志向するという意味においてであると措定し、愚考致しました。知性、諦め、自己肯定について。 考えるとは、感じるとは、何かについて感じることであり、考えることでありますが、知性の対象すべてを他者とすると、私とは他者を志向するもの、他者との関係性においてあり、他者を因とする果であり、その逆はありえない。 他者は自己に先立つ。 私にとって他者と

          エッセイ:本質とは肯定である

          エッセイ:やっぱイマジンよなぁ

          『イマジン』は1971年発表のジョン・レノンの楽曲。皆様ご存知でしょう。グローバリズムというイデオロギーの観点からすると現代を捉えているなと。 イデオロギーとは人の生活を外部から変えようとする、いわば「根無し草」の思想をいいます。以下、パロディ、余興にお付き合い下されば幸いです。 想像してごらん 人はみな同じだと 優劣も上下もない 人はみな同じヒト あとは資本家がいるだけ 想像してごらん その下でみんなが 働いて生きているのがこの世界 想像してごらん 国籍なんてない

          エッセイ:やっぱイマジンよなぁ

          エッセイ:ダメ。ゼッタイ。

          反戦デモのニュースが流れる。戦争反対、絶対反対とプラカードを掲げ、無辜の虐殺に、民族浄化に、人権侵害に、反対する声を上げる人たち。声を上げるのが目的でないのなら、駄目なものは駄目だと反対するには、「主語」がいる。 何故には切りが無い 何故人を殺してはならないのか、何故ものを盗んではならないのか、何故騙してはならないのか、と子どもに問われて、大人が、まわりの信用をなくすからと答える。 模範的な解答としては及第点でしょう。 子どもがもし、何故まわりの信用をなくすからなのかと猶

          エッセイ:ダメ。ゼッタイ。

          エッセイ:みんなちがって、みんなぼっち

          正しさとは。 いいとは。 ほんとのいいとは。 人を尊重しましょう、その人の価値観を。 みんなちがう。 みんなちがって、それでいい。 みんなそれぞれに、「いい」がある。 みんなバラバラに、「いい」がある。 みんな正しい、風船を持っている。 みんなバラバラになる。 風船を持っていれば、 自由になれる。 空を飛ぶ、 わたしになれる。 ほんとのわたし。 わたしはわたし。 バラバラのわたしたち。 みんなぼっち。 みんなにとってのいいがある。 正しいこと、 ほんとのいいがある。

          エッセイ:みんなちがって、みんなぼっち

          エッセイ:ドン引きのすゝめ

          ある男 思い出すのは、白い齒。上背があって、日に焼けて引き締まった躰、臆病な目つき。趣味はゴルフで、高校生の娘がいるといった。妻もいれば愛人もいる、会社経営者だった。埼玉の郊外に一軒家。ローンは完済。ジャーマンシェパードって牧羊犬を飼っているらしかった。 「一身独立」が、そいつの座右の銘だった。 二十年ほど前、ある曇った秋の日、そいつを囲む下々の者の一人として、私もいた。いつものように喫煙室で六七人、紫煙を燻らせながら、そいつの自慢話に耳を傾けていた。自慢話とはいえ、社会

          エッセイ:ドン引きのすゝめ

          エッセイ:右向け左 ➤

          いろんな人と人との間 ラーメン好きな東欧の白人男性が東京のラーメン屋で修行するというテレビ番組でのこと、その外国の方が麺をズズズと音を立ててすするのを目の当たりにして、店主が嬉しそうにもらす。 おお、わかってるね。 ラーメンは音を立ててすすって食べる物だということを外国人が「わかって」いる。それが店主には嬉しかった、つまりある集団にとって「正しい」とされていることに対する外部の者からの敬意、リスペクトですね。 就職、結婚、留学、転職、引っ越しなどで、皆様もこういう経験は

          エッセイ:右向け左 ➤

          エッセイ:空でいいんじゃねすかね

          空しき問い 生きるとは経験の連続といえますが、経験とは、分かつことであるという。 分かつ。 つまり、他者と何かを分かつ。 カラマーゾフの兄弟を読む。株式投資をする。株価が暴落する。妻に叱られる。他者とはカラマーゾフの兄弟であり、株式投資であり、株価であり、妻でありますが、人は他者抜きには何も経験することができません。 様々な経験があって今の私が有り、他者が有るが故に私は有る。他者とは掛け替えのないものであります。 生きるとは掛け替えのない他者と共に有るということであり、生

          エッセイ:空でいいんじゃねすかね

          エッセイ:見えない銃

          大手自動車メーカーによる「下請けいじめ」がちょびっと話題となっておりましたが、別段驚くでもなくまあそういうこともあるやろ、ぐらいに受けとめている方も少なくないかと。いじめは子どもの世界に限らず、大人の世界にもあり、人がいるところであれば世界中何処にでもあると断言していいでしょう。いじめが当たり前である世界において、強者であるということは、生存戦略として「正しい」。やられないためには強者である必要があり、強者であるためには弱者の存在が不可欠である、という構造が、人の世にはあるの

          エッセイ:見えない銃