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ジョージアの茶碗酒

北海道にはジョージアの伝統的なワイン作りに挑戦しているワイナリーがある。
ジョージアはアジアとヨーロッパの間、黒海とカスピ海の間にある国で
その辺りはブドウの原産地だとか。
だから古くは聖書にも「ぶどう酒」が出てくるのだな。
収穫したブドウの実をはずして
地中に埋めた大きな甕「クヴェヴリ」に入れて蓋をして
あとは自然に任せて発酵してワインになるのを待つ。
出来上がったら、上澄み(ワイン)をすくって飲む。
あれか、「サル酒」みたいなものか。
酒の起源がわかるような製法だ。
以前、訪ねてみた時の事を。

ジョージアから持ってきたクヴェヴリはこちらで

ジョージアのクヴェヴリ

なんと750リットル入るというが、あちらでは小さい方だそうな。
ちなみに重さは400キロ…って、運ぶのも大変だったと想像できる。
九州の「酢」を作るのと同じく
地面の中の温度変化が小さいことを利用しているのだ。

で、実際にワインを作ったのはこちらのクヴェヴリで
陶芸家に頼んで製作してもらったのだと。

ブドウの実が浮いているのがお分かりだろうか(六角精児の声で)

170リットル入るのだが、これが窯の大きさの限界だったそう。
そばにある棒の先にナニか付いているものは、中を掃除する道具で
サクラの木の薄板を何枚も重ねたタワシのようなものだ。
ジョージアのクヴェヴリは大きいので、中に人が入って掃除するのだが
こちらのは小さくて人が入れないので、これでゴシゴシ洗うのだそうだ。
あ、ジョージアでは何かの草の繊維らしく
これはホントにタワシだわ。

さてそこで今度は飲む方。
これがジョージアの伝統的酒器で

(あ、ヒシャクは違いますから!)

手前のこれがピアラという「酒茶碗」で

ピアラ

これだけジョージアから持ってきたもので
赤っぽいのは、ワインの色が付いたのだと。

実は、見た瞬間に「あ、ローマ兵のお茶碗!」と思った。
以前読んだ、ローマ時代の兵士の「社食」で使った食器についての論文には
素焼きの皿や「茶碗」の画像が載っていて
非常に目の細かい粘土、炻器(せっき)用粘土で作られたのだとあった。
炻器というのはアレですよ、身近なモノでは朱泥の急須。

実際に手に持つと、薄くてさらさらとして、いい感じ。
ああ、ローマ兵のお茶碗はこういう感触だったのか、と、地味に興奮した。

この茶碗以外は陶芸家に注文して
ジョージアで使われているものの形で作ってもらったものだそう。
イマドキはあちらでもワイングラスを使うのだけれど
みんなで集まってわいわい飲むときには
このピアラで「茶碗酒」を飲むそうで。
ナンか、わかる気がする。
ジョージアのワインはピアラで飲むのが一番おいしいのだとも言っていた。

確かに、器で味は変わるモノですぞ。

で、このワインを注ぐためのモノがこちら。

この「ジョージアの徳利」は、あちらの言葉で
ドキ
というのですってよ♪(ここ、ツボりました)
確かに土器ですね。

ジョージアでも近年は輸出用ワインは工場生産で
こういった甕で作ったワインは農家の自家用なのだそう。
自家用ワインをみんなでワイワイ茶碗酒♪
いいなあ、飲めないけど、いいなあ。


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