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桜田門外の変

子育ての風景
勉強

父から「桜田門外の変」の話を聞いたことがある。
父が小学生のとき、学校にいたおじいさんの「小使いさん」が事件の様子を話してくれたそうだ。井伊直弼が駕籠から引きずり出され暗殺された場面を見たと。

もう、ひどいことになって、チャンバラなんてもんじゃなくて
何人もで取り囲んで引きずり出して刀で何度も―
それはもう、「ひっとい」もんで…

と言う父の顔はひどくゆがんでいた。
小学生の父は恐ろしい思いで聞いていたに違いない。

うちの父が大正2年生まれなのでその父が6歳~12歳のことだとすると
話を聞いたのが1919年~1925年。
桜田門外の変があったのが1860年だから59年~65年後のこと。
その小使いさんはまだ子どもだったのだろう。

桜田門外の変については詳しい記録が残っていて目撃者がたくさんいたことが知られている。大名行列を見物に来る人がたくさんいてそういう人たち向けにガイドブックも出ていたという。暗殺者はその中に潜んでいた。

そこにまだ子どもだった小使いさんもいて
60年ほども後に学校で小学生に恐ろしい思い出話をしたわけだ。
わしがおまえくらいのときにな…とでも話したのだろか。

桜田門外の変は160年以上前のことだが
私の父の思い出の中に父が直接聞いた話として残っている。
これを思うと幕末は遠い昔のことではなく
自分に関係ない時代、とは思えないのだ。

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