ベンベルグa

ベンベルグ®︎の企画開発

ベンベルグ®︎ラボ1期の第2講「<ベンベルグ>アウター(表地)の商品開発」が行なわれました。今回は商品開発がテーマということで、旭化成株式会社繊維事業本部の入江桂子さんにお越しいただきました。

前回の講義から1ヶ月がたち、まずは受講生からの<ベンベルグ>が店頭でどのように展開されているのか、市場リサーチ報告からスタートです。

受講生が百貨店で見つけたアウターは、袖裏地はキュプラ100%で、見頃の裏地はキュプラ55%にコットンを混ぜていました。部分によって混率を使い分けている理由は、袖裏には袖通しがいいようにキュプラ100%を使用して滑らかさを重視。背中は冷やさないために、短繊維との交織で温かさをプラスする仕様が秋冬ものには多いとの解説がありました。

その他には、ふとん屋で見つけたふとんの裏地がキュプラ100%。同店で販売されていたルームウエアのガウンの裏地にも使用されていたとの報告も。

入江さんから、キュプラの意外な使われ方、業界うら話などの貴重なお話をうかがうことができました。

続いて、入江さんより実際に旭化成株式会社で使われている生地開発マップの紹介です。

「この開発マップは、日本の各産地を回り、機屋さんと次のベンベルグ展(生地展)に向けてどのような生地を作るか話し合うためのものです。最新のトレンドを踏まえ、今どのような生地が必要とされているのか。また、その生地を作るために我々がどんな糸を開発しているのか、といった要点をここにまとめています。機屋さんによっては、繊維組織をよく分かっていても色が分からないなど得意不得意が当然あるので、全体のトレンドを知ってもらうためにもこのようなマップが必要となります。」と入江さん。

毎シーズン多くの情報を精査し、開発マップにまとめるだけでも大変な作業ですが、さらに全国の工場をひとつひとつ回り話し合いを重ねるという、旭化成株式会社のものづくりに対する真摯な取り組みがよく伝わるお話でした。

その後、講義は日本各地の産地紹介に移ります。産地別にスワッチを見比べながらその地域の特徴をわかりやすく教えていただきました。受講生も興味津々の様子で話に聞き入っていました。

第2部中盤はいよいよ本題である「<ベンベルグ>アウター(表地)の商品開発」についてです。裏地に使われているイメージが強いキュプラですが、表地としての生地開発も当然ながら進められています。講義では、実際に製品となったドレスやジャケット、スカートなど、海外ブランドの製品サンプルの仕様を確認。

キュプラビスコースのドレスやソフトデニムといった、キュプラの特性を生かし他繊維と混ぜ合わせた複合素材が多く紹介されました。特に海外で人気が高いのは、サンドウォッシュ加工を施しヴィンテージ感のある風合いをだしたものだそうです。

終盤では、改めて<ベンベルグ>がコットンの種子から糸に、そして生地になる工程をおさらい。また、サスティナビリティについて説明するために製作した、4週間土に埋めて生分解を進めたロングドレスが登場。土に埋めた部分が茶色く変色し、まさに土に還る一歩手前の状態でした。このドレスがこの日1番の盛り上がりをみせ、今日の講義は終了となりました。

一般的な感覚では、まず表面的なデザインにばかり目がいき、素材は二の次になりがちです。しかし繊維を知り、素材を通してデザインを捉え直すと、洋服の見え方が驚くほど一変します。今回の講義を通して、洋服の奥深さを再認識するとともに、<ベンベルグ>への好奇心がまた増した気がしました。

次回は、「ベンベルグ裏地ミュージアム+(プラス)」と「2019 Autumn & Winter ベンベルグ®︎アウター素材展示会」へうかがいます!

事務局

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