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新入社員の頃を思い出してみる

朝晩の電車の中は、真新しいスーツを着た新入社員らしい方を見かけます。
朝の電車ではイヤホンをつけて音楽を聴き、左手にはスマホを握りしめ、
帰りの電車では同期でしょうか、何人かと一緒にリラックスした表情で楽しそうに話しながら。

自分も25年前の4月、そんな時期がありました。
スーツを着ただけで、初任給をもらっただけで、なんだか自分が偉くなったような気がしました。何でもできそうな予感しかありませんでした。
たった1週間前までは大学の卒業式で同級生と思い出に浸っていたのに。社会に出るまでに大した勉強もしていなかったのに。
入社式を経て、スーツを着るだけで自分は大人になったんだなと思っていました。

入社して最初の週末。会社の寮に住んでいる同期と車でドライブに行きました。いつものスーツ姿とは違う私服。もちろん大学を卒業したばかりなので、みんな私服はいくらでも持っています。
同期の表情は晴れやかです。ドライブ中の車内では、あの先輩がどうだ、この上司がどうだと会社の噂話。改めて大人になったなと思いました。

新入社員はそれくらい勘違いしてもよいのかもしれません。
最初から恐縮する必要はまったくありません。自分を小さく見せる必要もありません。ただただ自信を持って堂々と行動し、素直にいろんな方々のアドバイスを聞けば良いと思います。そしてアドバイスをすぐに実践に移す心構えを持つ。その繰り返しでしょうか。

そういえば、仕事帰りに同期と会社近くの居酒屋へ。
近くに座っていた50代のサラリーマンが、私たちのテーブルを見つけて話しかけてきました。今の私にはそのサラリーマンの気持ちがわかります。若い人を見るとアドバイスをしたくなってしまうのでしょう。今の時代だとそれがうっとうしいと思われるかもしれません。でも2000年前後はそんな先輩サラリーマンが山ほどいました。そんな人しかいなかったといっても過言ではありません。

その50代のサラリーマンからのアドバイスは、

「分からないことを分かったふりをするのだけはやめなよ、
 分からないんだったら分からないと素直に言いなさい、
 年を取ると分からないということが恥ずかしくて
 言えなくなっちゃうから。
 分からないといえるのは今のうちの特権だよ」

正直よく分かりませんでした。
分からないのだからこそアドバイス通りに
「分かりません」
と言わなければならなかったのでしょう。
でもその時は、「ありがとうございます」
と笑顔で返事をしました。

あの時のアドバイス。今も心に残っています。
会社の先輩からもたくさんのことを教わりました。
でも何よりもあの言葉が一番自分には響きました。
おかげさまで今でも分からないことがあれば、
「分かりません、教えてください」
と素直に言葉に出すことができます。

世の中、分からないことだらけです。
でもそれでよいのではないでしょうか。
分からないことに出くわすということは、挑戦しているということだと勝手に思い込んでいます。
これからもたくさんの分からないことに出会っていこう
と誓う4月の夜です。

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