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心地いい毎日とは?【ある日の日記】

以前、友人と行った喫茶店。ランチで食べたロールキャベツ煮込みが本当に美味しかった。ただ、店内は広くなく、食事が美味しいのでお客さんが次々に訪れる。そのため長居が出来ないので、その後友人とはなかなか行くことが出来ないお店になってしまっていた。


仕事が休みの朝、郵便局へ行く途中でその喫茶店の前を通った。
今日はなんだか入りたくなった。
まだモーニングサービスの時間帯だし。


スライドの扉を開ける。
確かオーナーは年配のご夫婦だ。
すぐ目の前のカウンターの中のご主人に声を掛けられる。
「いらっしゃいませ」
L字型のカウンター周りに6席ほどの椅子が並び、入り口側に離れてテーブル席が2つある。奥のカウンターに白髪の男性客が一人、コーヒーを飲みながら本を読んでいる。私は手前のカウンター席に座り、コーヒーを注文した。もちろんモーニングのトーストもつけてもらう。


コーヒーを待っている間、久しぶりなので店内を見回していた。
(ん?)
ミュージシャンのような人物を描いた絵の額縁が何枚か飾られている。
(誰だ?)
眼鏡愛用者だが、老眼と近眼ではっきりと見えない。覗き込むように近づいた。


「フレディ!!!」


QUEENのフレディ・マーキュリーだった。
思わず立ち上がって眺めていた。それは水彩で描かれて優しいタッチの作品だった(お髭の前のカッコいいフレディ!笑)。数年前に発売された、フレディが表紙でQUEENが特集された音楽雑誌が1冊飾られていた。
「すみません、これ読んでもいいですか?」
そう言って振り返ると、奥様が近くに立っていた。
「もちろん、いいですよ」


多分、絵を眺めている私の様子を見て、厨房から出てこられたのだろう。私が雑誌を抱えて席に着くと、彼女は厨房内でやりかけていた仕事を手に、近くのテーブル席に座った。そして話し掛けてきた。
「QUEEN好きなの?」
そしてQUEEN談義から始まり、好きな音楽のことなどを話し合った。
彼女はあの映画の後、ファンになったと言っていた。それまではただの髭のおじさんだと思っていたと笑っていた。でもとても詳しく語っていたので、QUEENを深く探求されたのだと思う。私がフレディの死を知ったのは、20代前半で運転中の車内のラジオだった。やはり亡くなってから、私も超有名な曲以外を聴くようになった。そして大好きになった。


今までのように、私は店主の女性の話を聞くだけではなかった。
私は自分自身の感情にまで踏み込んだ話をした。
今までなら、話す必要などないと思っていた。
でも今、晴れ晴れとした気持ちにさえなっている。


私が興味を示した音源を
「取り寄せておくから、また聴きにおいで」
と言ってもらった。


あー 楽しかったー
フワフワした気持ちで、目的の郵便局まで歩いていく。
近くの幼稚園で入園式だったようだ。隣の公園のほぼ満開の桜の木の下で、幸せそうに写真を撮っている家族たちがいる。自分の子どもたちの時を思い出す。成長の喜びと新しい環境への不安な気持ち。その不安を悟られないように、努力して毎日笑顔で子どもを送り出してたなー。


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