縁食論
「孤食」や「共食」ではなく「縁食」という関係のあり方、の提案といえるでしょう。まさに〈オフィシャルでも、プライベートでもなく〉です。
それを「共存」ではなく「並存」であると述べています。「たまたまの多様性の出会い」と言い換えてもいいかもしれません。共食のように家族や宴会などでとる食事という一義的なものを共有している関係、という前提をともなうものではない、という意味においてです。
そしてそれは死者についてもいえます。死者とは「共存」はできません。死者となんらかの「縁」によって結びついているのです。
死者と「縁」によって出会い、新たに関係を結び続ける、といってもいいでしょう。
「孤」であるか「共」であるかという二者択一にとらわれている、というのです。両者は「ひとつのまとまり」を形成している、という共通点があります。そしてそこから「もれ」てしまうものとしての出会い、それが「縁」というゆるやかな関係を成りたたせます。
『縁食論』藤原辰史 ミシマ社 2020
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