移動遊園地

移動遊園地がやってきた
いったい何をしに来たの?とききたくなるような
こんなうらぶれた街に

移動遊園地の主人は
仏頂面で
その小さい息子も やっぱり仏頂面で

楽しくないのに
楽しいふり

本当はもう どこにも行きたくないのに

遊園地は移動する
彼らは移動する
それが仕事だから

さみしいのは この空のせい
ずっと曇り空で
とても陰鬱だから

ここに住むひとたちが
うらぶれていることが好きだから


移動遊園地を
かわいそうだと思っているから

理由は知らないけれど

ただ甘いだけの
赤と白のしましまのステッキキャンデーの味を
口の中にかすかに残して

移動遊園地は
一週間でまたどこかに消えていく

そしてわたしは小さく手を振る

#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

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