見出し画像

旅だから出会えた感情④

個性+物語=ブランディングについて

旅に出た。訪れたのは、山形県鶴岡市。クラゲの展示で全国的に有名な加茂水族館がある街だ。これまで3回に分けて旅日記を書いたが、今回は趣向を変えてブランディングについて。

画像1

物語は強く人を惹きつける

まずは、加茂水族館。冒頭でも書いたように、クラゲに特化した珍しい水族館だ。加茂水族館=クラゲ、クラゲ=加茂水族館。この認識はかなり浸透している。メディアでも盛んに取り上げられている。クラゲとの出会いは偶然の産物だったように記憶しているが、それを目玉にして再生を図った物語は強く人を惹きつける。

ひとつ軸になるモノを据え、そこに物語が付随していると、強烈な個性が生まれる。流行り廃りのサイクルが早い昨今、人は何を求めて行動するのか。ただ単にキレイ、美味しい、楽しいだけでは、一度は足を運んでくれても、また訪れたいと思ってはくれない。場所ならば、そこでしか体験できないモノを提供する必要がある。食べ物ならば、それを開発した過程にストーリーがないと共感は得られない。

難しい時代なのかもしれない。でも、考え方によっては、自分たちが提供したいモノ、共感してほしいコトが昔よりも伝えやすく、また伝わりやすい環境でもあると言える。だからこそ、核を何にするのか、それをどう発信していくのかが重要になってくるのではないだろうか。

画像2

個性はくるむ

スイデンテラスもまた、ブランディングに成功していると言える。まず、立地。極端に辺鄙なところにあるわけではないけど、うまく水田を利用していることで日常との絶妙な距離感を演出している。あたりが暗くなると、その思いが一層強くなる。すぐ近くにはコンビニエンスストアもあるし、工業地帯でもある。でも、宿泊するとそんなことを忘れてしまう。非日常に誘う導線が工夫されているのだろう。幹線道路からホテルに向かうまでの道も、その一つかもしれない。

次に、坂茂氏のトレードマークである紙管。これがホテルの随所に生かされており、他との差別化が図れていた。紙管が自然と配置されているから、見逃してしまっていたこともあった。トレードマークである以上は主張したいのだろうけど、嫌みさを感じさせずに内観に溶け込ませていた。お客への配慮は、お見事!としか言いようがない。

現にイスやベンチはデザイン性のみならず、座り心地も良かった。紙管が丸いから柔らかみを感じられて、それが全体の雰囲気を和やかにもしていた。これらの根幹には、やはり「水田にお邪魔させてもらいました」という坂茂氏の明確で、力強いコンセプトが関係している。お邪魔させてもらっている以上は、軋轢を生むような自己主張はしない。個性を前面に押し出し過ぎない。徹底的に貫かれているから気持ちがよかった。

画像3

うまく両輪を回転させる

個性と物語。この両輪がうまく回転していると、自ずと興味・関心を抱く人が集まってくることが分かった。ボクの周りにも、うまく両輪を回転させている人がいる。肉屋+大工、家具職人・染色職人+カフェ経営、まち歩きのスペシャリスト+カフェ経営、生ハム+ライター、カーリング+公務員。さて、ボクにはどんなブランディングができて、どんな物語が紡ぎだせるのか。今は模索している段階だ。先が見えずに暗く沈む時もあるけど、妄想できる楽しい作業でもある。どこに、どんな答えがあるのか。探していきたい。

おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?