【詩日記】 不自然

 不自然
 
 
 電車で忘れ物をしたくなくて
 右手を頑なに離さないキャリーケース
 それ不自然だよ
 君が好きだと言っているスマートフォン
 触れないでしょう
 手を離したらどこかに行くものなんて
 もともと君のものじゃないよ
 力尽きていつか君が手を離してしまうよ
 
 熱いと冷たいを交互に混ぜて
 まるでいいこと言ってるみたいな
 見え透いた歌詞に踊らされている
 君がかわいそう
 もしも明日と今日で冬と夏が交互に来るなら
 君はきっと日々を手放すよ
 試しに半年ずつ未来にタイムトリップしてみる?
 たとえ何度夏と冬を通り過ぎたとしても
 僕の左手を離さないでね
 
 僕たちはきっと永遠に生きようとしてる
 永遠に変わらずそこにあり続けようとしてる
 それと同じくらい君にもそこにいてほしいと思っている
 ずっといつまでも微妙に垢抜けないぱっつんの前髪でいて
 手を拳にするとクリームパンになるところも好き
 遠い遠い未来でもそのままでいられる?
 やっぱり冷凍保存した方がいいかもね

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