【詩日記】 見えなくして

見えなくして
 
 
 わたしのこと見えなくして
 そうしたら今よりもっと上手く暮らせる気がする
 わたしの好きなものと好きな人も見えなくしてほしい
 ずっとわたし一人だけで囲っていたい
 
「都会の夜は明るすぎて人の心が隠れてしまう」
 都会で初めて好きになった人が教えてくれた
 わたしは夜にしかあなたに会いに行かなかった
 
 夏はいつも一人じゃないから好きだと思う
 夏が終わると冬を越えるためにみんなどこかに行ってしまう
 わたし達には暖を取る場所が必要だ
 街明かりに照らされたあなたの毛並みが綺麗だと思った
 だから上手く暖めてくれると思った
 
 数字に季節があるなら0は冬だねと言っていた
 あなたの毛並みの内側にわたしと同じ空っぽを見た気がした
 あなたは冬が来る前に暖められる人と出会った方がいい
 秋が始まる頃に厚手のアウターをプレゼントして手を振った

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