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天才に憧れた話

こんにちは。
実家が全焼したサノと申します。

小学生の頃、僕は本気で
魔法使いになりたいと思っていました。
ハリーポッターの世界に憧れていたからです。

ハリーポッターを読んでいると、
まるで本当に魔法の世界が
あるように思えてきて、
ハリーポッターという作品は、
魔法使いによる人間界への暴露本
だとすら考えていた時期もありました。

魔法使いになりたいと願い、
具体的に何をしていたのかと言うと、
道端に落ちている木の枝が、
魔法の杖じゃないのか確認するため、
木の枝を拾って魔法を唱えてみたり、
大阪駅の9と4分の3番線の壁に
激突したりしていました。

しかし、どれだけ試してみても
僕が魔法使いになれることはありませんでした。

大人になるにつれ、魔法使いになるのは
「かなり難しそう」であることが、
理解できるようになりました。

そこで僕は、もう少し現実路線を
目指すようになりました。

僕が目指したのは「天才」でした。

天才は現実に存在するので、
魔法使いほどは難しくないだろうと考えました。
また、天才の定義は曖昧で、
周りが天才だと言えば天才になれるので
比較的なりやすいと考えました。

しかし天才には、
天才アスリート、天才ハッカー、天才芸人など、
様々なジャンルがあります。

僕が目指したのは、
デスノートのLのような天才でした。

何を考えているかわからないけど頭脳明晰、
そんな天才になろうと考えました。

そんな風に考えたある日、
僕はテレビでMENSAという団体を知りました。

テレビの情報では、MENSAとは、
人口上位2%のIQの人だけが入会できる団体で、
天才集団だと説明されていました。

天才を目指す僕にぴったりの団体でした。
デスノートのLならば、
そんな俗っぽい団体に絶対に入会しませんが、
僕はすぐに試験を受けました。

そして運よくMENSAに
入会することができました。

さらに運よく、
入会して間もなくMENSA経由で、
「真の天才を決める」
という趣旨のテレビ出演が決まりました。

その番組では、
6か国語話せる人とか、
短時間で100桁以上の数字を覚えられるとか、
東大の首席とか、
何かしらの天才っぽい人たちが集い、
その中で優勝者を決めることになっていました。

ここまで読んでくださった方は
すでにお気づきだと思いますが、
僕には特筆すべき能力が1つもありません。

しいてあげるなら、
「天才になりたい思い」だけは強くありました。

本番当日、会場に入ると各々が
自身の「武器」を磨いていました。
まるで格闘技の控え室のようでした。

僕も本番までの2週間、
一生懸命「武器」を作り、磨いていたので、
最終調整作業をおこないました。

そしていよいよ本番が始まりました。

お題は、メイド喫茶で働く女性の名前と顔を
短時間で暗記するというものでした。

静寂に包まれる中、
みんな真剣に暗記していました。

僕も2週間磨いてきた「武器」を使いました。
僕の武器は「天才の所作」でした。

開始と同時に僕は目を瞑り、しばらくして

…スゥッ

と息を吸い、目をこれでもかというくらい、
見開きました。

その時の様子がこちらです。

この開眼中は、
視界に入るもの全てを覚えられる、
というのが僕の設定でした。

番組スタッフは当然、
誰が真の天才なのか知らないので、
僕を真の天才だと思い、
大きくカメラが寄ってきました。

結果、僕も開眼をやめられないので、
目が乾燥しきって充血し、視界がぼやけて
メイドさんの顔も文字もまともに見られず、
あえなく初戦で敗退しました。

天才になりたかっただけなのに、
できあがったのはただの黒歴史でした。

しかしこんな黒歴史を築いても、
まだ僕は天才を諦めていません。

きっと僕だけにできること、
僕にしかできないことがあると、
信じているからです。
遅咲きでもいいから、
何かの天才になれるよう、
これからも頑張りたいと思います。

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