整形された"いい加減さ"の心地よさ|入船亭扇遊・瀧川鯉昇二人会

・・年の瀬にあわてて更新中・・
今日は6月の記録に逆もどり

扇遊師匠の高座のあかるさを知った今年、鯉昇師匠との二人会がにぎわい座さんでスタートすると知り、なんと陽の気が強いおふたり組か! と、いそいそチケット片手に横浜は桜木町へと向かったのでありました。

前座時代からの呑み仲間だというおふたりの会は、なんともごきげんで、ちょっとけだるくて、やっぱり楽しい古典の会でありました。

入船亭扇遊・瀧川鯉昇 二人会

柳亭左ん坊 道具や
瀧川鯉昇  船徳
入船亭扇遊 棒鱈

入船亭扇遊 突き落とし
瀧川鯉昇  粗忽の釘

20230609
横浜にぎわい座

拝見するたび、師匠ご自身が「芸術協会と落語協会の差を〜」なんてことを冗談混じりに仰っていて、その期待(?)に応えるように、「あれ? そのエピソードをお飛ばしにっ?」「所作が、消えたっ!」などという驚きにも出会える、鯉昇師匠のらくご。

ダイナミックだ……! と楽しんでいたのですが、「船徳」をお聴きして、いやいや計算のうえでなさっていることなんだ、ととっても当たり前すぎることに気がつきました(すみません、ヒネクレてる割にはけっこう素直な性分なんです)。やっぱり噺家さんのポーズを信用しちゃあ、いけないのね。なんとまあ、気持ちよく騙してくださるのでしょう。

あらためて噺家さんって、すごいのね。自己演出のプロだ。人から愛されるプロと言ってもいい。

鯉昇師匠の鷹揚さや、ご謙遜をふくむ後ろ向き発言に、嫌味っぽさや卑屈さを微塵も感じないのは、それを受け取った側が楽しめるラインを熟知されていて、それにあわせて整えられているからなんだ、と思ったりしました。

いい加減は良い加減……!ってコト!?(©ちいかわ)

落語氏の"芸"の多様さ、しゅごい。これが大衆芸能の強みですか? たぶんひととして賢くないとできないやつじゃないですか。あと、なんでも究極まで突き詰めれば、芸として昇華できるのかもしれない(?)という可能性すら感じる。


そうそう。この日衝撃だったことがもう一つありまして。
本編に入る前に、喋りながらおもむろに脱いだ羽織を畳み出す師匠。めちゃくちゃコンパクトに畳んで懐におしまいになった。

↑の竹書房さんの引用は別の会で撮影されたもののようです。幻だったかと己が目を疑っていたので、こうして再び見れて、ありがたい。
(鍵アカ仕様の引用になってるけど、リンク飛べます)


ロザリオがクリスマス仕様ではなかったことも判明したこの日。
一体ぜんたいどこからロザリオがやってきたのか、あらためて意味がわからなすぎて、鯉昇師匠のこともっと好きになっちゃった。


第二回は2024年1月9日開催です!

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