佐野明李

いろいろな物語を観て、あれこれ想像の世界に飛び込むのがおもな心の栄養分。 ぴったりの言…

佐野明李

いろいろな物語を観て、あれこれ想像の世界に飛び込むのがおもな心の栄養分。 ぴったりの言葉など見つかりはしないけれど、自分の感じる「すき」の輪郭を確かめてみたくて、こっそりnoteを書いたり書かなかったりします。 ※『メモログ』の記事はおもに書き殴り備忘録です。

マガジン

  • 誰も買うてはならぬ

    ウダウダ書いた落語以外の非公開感想まとめ用。途中まで公開していることもありますが、その先はまとまってなかったり、ただのTwitter引用だったりするので、買う価値ありません。

  • メモログ

    自分用の鑑賞メモ。読まれることを前提にしていないため、体裁は整えておりません。ネタバレ注意です。

  • アカリトラクゴト

最近の記事

2023夏に聴いた「怪談乳房榎」|柳家三三師匠 & 蜃気楼龍玉師匠

冬に怪談噺の話題もなかろうもん、という感はありますが、今年の夏は「怪談乳房榎」を聴く機会に恵まれたので、メモ。 柳家三三師匠版(於 鈴本演芸場)三三師匠の主任興行、ネタ出しに伺いました。 寄席での興行なので、後述する龍玉師匠版よりはコンパクトながら、三三師匠の噺の巧みな立ち上げ方にすっかり呑まれました。 引き込むの、う、うま〜(いまさら)。 この日は、認定後初めて雲助師匠を拝見しに行った日でもあったねえ。 三ヶ月くらいぐるぐる考えていた割には、初期につぶやいた内容と結論

    • 整形された"いい加減さ"の心地よさ|入船亭扇遊・瀧川鯉昇二人会

      扇遊師匠の高座のあかるさを知った今年、鯉昇師匠との二人会がにぎわい座さんでスタートすると知り、なんと陽の気が強いおふたり組か! と、いそいそチケット片手に横浜は桜木町へと向かったのでありました。 前座時代からの呑み仲間だというおふたりの会は、なんともごきげんで、ちょっとけだるくて、やっぱり楽しい古典の会でありました。 入船亭扇遊・瀧川鯉昇 二人会 柳亭左ん坊 道具や 瀧川鯉昇  船徳 入船亭扇遊 棒鱈 〜 入船亭扇遊 突き落とし 瀧川鯉昇  粗忽の釘 20230609

      • 夏の一門会、白酒師匠への信頼がいや増すばかり|鈴本演芸場 余一会

        わたしが認定の話に悶々しているあいだにも、当然御一門の会は開催されるわけで。もちろん予約しているわけでして。 客席の雰囲気についていけるか不安もあったのですが、御一門の落語を聴きたい気持ちのほうが大きくて、行ってまいりましたとも。そして結果、行ってよかったのですとも。 イーロンのせいで、鍵垢のポストをnoteに引用するとエラー表示が出るようになってしまった。イーロンのせいでっ! 御一門の話は自分でも検索できるようにしておきたいので、大変読みにくいけどTwitter の引用で

        • これにて一区切りのワザオギ落語会、また会う日まで

          2023年は国立劇場の一時閉場のほか、最終回を迎える落語会も多かったような気がします。(ところで、人形町らくだ亭の再開はまだでしょうか……涙) 6月にお邪魔したワザオギ落語会もそのひとつ。国立演芸場の閉場に合わせ、今回で一旦一区切りとのこと。協会の垣根なく顔付された落語会の走りだったそうで、兼好師匠がこの会で初めてご一緒した師匠も多かったとおっしゃっていたのが印象的でした。 わたしは白酒師匠につられて、ワザオギPresents(?)の白酒独演会にお邪魔したことがあるくらい

        2023夏に聴いた「怪談乳房榎」|柳家三三師匠 & 蜃気楼龍玉師匠

        マガジン

        • 誰も買うてはならぬ
          3本
          ¥999
        • メモログ
          48本
        • アカリトラクゴト
          8本

        記事

          「あわせ鏡」に照らし出された新しい柳家さん喬師匠との出会い|さん喬あわせ鏡

          今年から、エムズさんが主催されているさん喬師匠の独演会に「さん喬あわせ鏡」とのタイトルが付き、そちらにちらほらと伺っております。 さん喬師匠は一体、あわせ鏡でいくつの面をさらけ出すおつもりなのでしょうか。出されても出されても、まだ底が知れなくって、おそろしい。 さん喬あわせ鏡(第一回)◆ 第一夜「新作部屋」 ※途中から 柳家さん喬 らくだの馬 / こわいろや 20230508 日本橋公会堂 「新作落語をかける柳家さん喬」の図がわたしにはもう新しくって。 もともとさん

          「あわせ鏡」に照らし出された新しい柳家さん喬師匠との出会い|さん喬あわせ鏡

          ついに出会えた! むかし家今松師匠の「笠碁」

          わたしが今松師匠を聴いてみたいと思ったきっかけの噺、「笠碁」。SNSを始めて数年来、とてもお世話になっている方が、馬石師匠の「笠碁」はおそらく今松師匠からだと教えてくださったのがきっかけでした。 へ〜そうなんですね〜なんて、ふんふん頷きながら、「今松……? 聞いたことないひとだ!!」と調べたのが最初の最初。そこからずっと師匠の「笠碁」を聴いてみたいと思っていて、ようやく今年、叶いました! 昨年、鈴本さんの主任興行の際にネタ出しも出されていたのだけど、日程が合わず伺えなくて

          ついに出会えた! むかし家今松師匠の「笠碁」

          春輔師匠の独演会にはじめて突撃したら、己の鼻息で月まで跳んでいきそうになった

          どういうタイトルやねんとセルフつっこみをしつつ、初めての春輔師匠の独演会に参加した夜、ほんとうにこんな心もちになったのであった。 春輔師匠の落語に出会って、約三ヶ月後。寄席も二、三人会も寂光四景も飛び越えて、赤坂会館の師匠の独演会にいきなり突撃してみたのである。 ▼ はじめて春輔師匠の高座を拝見したときのnote 八光亭春輔 独演会 金原亭駒介 高砂や 八光亭春輔 蔵前駕籠 〜 春輔 品川心中 / 〈夕暮れ〉 20230620 赤坂会館 生意気な言い方かもしれない

          春輔師匠の独演会にはじめて突撃したら、己の鼻息で月まで跳んでいきそうになった

          「お」から始まる言葉が言えなくとも

          誰も興味はお持ちでないでしょうが、7月18日からこっち、複雑な気持ちを整理できずなにも書けなかった「認定」の話を、そろそろ記しておきましょうや。 落語の世界に出会う前から「人間国宝」という大きなラベルによって、そのひと・その技芸が、単なるラベルとして消費 / 集約される場面にたびたび遭遇し、違和感を感じてきた身としては、落語の世界にいざなってくれた大好きな師匠が、──自分にとっては「自由」の象徴のように感じていた師匠が、その当事者になる・ラベルを負うことについて、とても複雑

          「お」から始まる言葉が言えなくとも

          初代国立劇場グランドフィナーレ さよなら四景

          わたしと国立劇場(半蔵門)との出会いは、おそらく2015年2月の文楽公演。たしか、高校生のときにも課外学習で歌舞伎と文楽を観に来ているはずなのだけれど、残念ながらほとんど記憶がない。 伝統芸能の世界に新しく出会いなおしてから、もうすぐ10年の月日が経とうとしていることにギョッとしつつ。通い詰めるというほどでもなく、ゆるやかに半蔵門の駅に降り立っていた身としては、これまでそこに在って当たり前だった初代国立劇場が一時閉場することには、まだ、あまり実感をもてていない。 文楽に出

          初代国立劇場グランドフィナーレ さよなら四景

          2023春に聴いた「らくだ」のはなし。|むかし家今松師匠・五街道雲助師匠・柳家さん助師匠

          今年の春は「らくだ」にもよく出会った。なぜか夏のイメージが強い噺だったのだけど。なんでだろ。ふぐの毒→食あたり、的な連想でもしたのかな?(それはちょっとどうなの) 個人的に「らくだ」はあまり趣味のいい噺と思えなくて。 演じ手さんのお力でもちろん笑いはするんだけど、努めて見えないふりをする必要がそこかしこに散らばっていて、それゆえか聴いた後にはちょっと疲れてしまう。わたしにとってはそんな噺だった。 ところがここしばらくの間、数人の演者さんの口演を聴き比べて、すこしずつ印象が

          2023春に聴いた「らくだ」のはなし。|むかし家今松師匠・五街道雲助師匠・柳家さん助師匠

          研精会OB連落語会と、小はぜさんの「百川」の話

          研精会OB連落語会 三遊亭歌彦 真田小僧 春風亭一花 花見小僧 入船亭扇橋 高砂や 三遊亭わん丈 お多賀さん 〜 柳家小もん 浮世床 -夢- 林家つる子 お菊の皿 柳家小はぜ 百川 20230407 日本橋社会教育会館 この日の研精会は小はぜさんの初トリと銘打たれていたのですが、直前に抜擢真打の発表があり、その話題で大盛り上がり。賑やかな会でした。 抜擢昇進の報告に関しては、この日も含めなにやら一悶着(?)あったようで。 個人的には、当事者に対して仁義を通していらっし

          研精会OB連落語会と、小はぜさんの「百川」の話

          喬太郎白酒二人会(関内寄席)と、「花見の仇討」メモ2023春

          毎年恒例、横浜市は関内ホールで開催される喬太郎師匠と白酒師匠の二人会に今年も。この二人会はあるようで、そんなに多くないので、年に一度とはいえ定期開催は嬉しい。 でも、どうしよう。 楽しかったこと以外、なにも記憶にないのだが! Twitterの引用以上のことを書けそうにもないので、この日の高座に関連して、今年出会った「花見の仇討」についても記しておきましょか。 関内寄席 柳家喬太郎 桃月庵白酒 二人会柳家やなぎ フラグ短命 白酒 代書屋 喬太郎 転宅 〜 喬太郎 侵略指南

          喬太郎白酒二人会(関内寄席)と、「花見の仇討」メモ2023春

          扇遊師匠の描く"女たち"が気になってしかたがない|入船亭扇遊独演会

          入船亭扇遊師匠の独演会にお邪魔するのは、今回が初めて。 寄席以外で最初に拝見したのは、たしか2020年夏の紫演落語会だと思う。紫綬褒章を受章しているさん喬師匠(2017年)、雲助師匠(2016年)、権太楼師匠(2013年)の三人で開催されていた会に、2019年に受章した扇遊師匠が加わって、最初の会だった。(そしてそれ以来、いまだに再開されていない涙) 聴いたのは「寝床」。旦那の怒りのボルテージの上がり方があまりに鮮明なのにすっかり取りこまれて、ずっと笑っていた。怒りの表現

          扇遊師匠の描く"女たち"が気になってしかたがない|入船亭扇遊独演会

          八光亭春輔師匠の落語に出会ったことを記しておきたい|黒門亭 & 特選落語集

          何を隠そう(?)わたくし、この1年半ほどのことを、「落語のこと、好きになってしまいました フェーズ2」と題しておりまして。 要は、新しい噺家さんに出会えば出会うほど、落語の芸の多様さ、懐の深さに惹かれて、もっと聴きたい人が増えてしまって困っているよ!ということですね。 ふっ、「何をいまさら」ですか?  チミは偶蹄目なのかい? というくらい、いくらでも同じものを反芻していられる性質なもので、我ながらスローペースかなぁとは思いつつ。 ここ1年半ほどの期間、わたしの心の箱庭の

          八光亭春輔師匠の落語に出会ったことを記しておきたい|黒門亭 & 特選落語集

          没入感の高さと、若き古典スピリッツを味わうことのできる二人会|古典ラウンジ 柳亭市童・立川笑二落語会(第一回)

          ステキな会場で市童さんと笑二さんが二人会を開かれるというので、お邪魔してきました。 ※2023年3月開催の第一回の記録。 それぞれ気になる存在な市童さんと笑二さん。 まだそんなに数を拝見していませんが、芸風がまったく異なるおふたりと感じていたので、面白い組み合わせだな!と。 実際、とても良い二人会だった。 Twitterで書いた「ドラマチック」という言葉が「過剰な演技」のような意味合いで、受け取られたら嫌だなあと思ったので、ちょっとだけ補足。 個人的に、笑二さんは構成の起

          没入感の高さと、若き古典スピリッツを味わうことのできる二人会|古典ラウンジ 柳亭市童・立川笑二落語会(第一回)

          師弟四景まとめの記録|五街道雲助一門会 白酒師匠「笠碁」と馬石師匠「湯屋番」を中心に

          さて、2022年から始まったエムズさんでの五街道雲助一門会「師弟四景」。 今のところなんとか欠かすことなく伺えているのですが、昨年の会の感想をロクに残していなかったため、第一回〜四回はすでにほぼ記憶喪失状態。己の記憶力のなさが恨めしい。 というわけで、今年は残す。どんなに遅れようが、残すったら残す。 第五回 師弟四景金原亭駒介 たらちね 蜃気楼龍玉 もぐら泥 桃月庵白酒 笠碁 〜 隅田川馬石 湯屋番 五街道雲助 明烏 20230301 日本橋公会堂 (亭号が「金原亭」な

          師弟四景まとめの記録|五街道雲助一門会 白酒師匠「笠碁」と馬石師匠「湯屋番」を中心に