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ドイツ語の“鬼門”、「冠詞」と「格変化」だけに集中して苦手を克服する

自身のドイツ語学習で苦しんだ経験をもとに、外国語が苦手な学習者の視点に立った授業を心がけている、明治大学農学部准教授の辻󠄀 朋季(つじ ともき)先生の新刊『ドイツ語「冠詞」「格変化」の強化書』が発売になりました。発売を記念して、本書の「まえがき」をご紹介します。(一部、改変しています。)


 ドイツ語の初級文法を学んでいる多くの方から、文法規則が多すぎる、複雑すぎる、覚えられない、といった感想をよくいただきます。中でも、冠詞と格変化 は、動詞(助動詞、過去形も!)の人称変化と並んで、ドイツ語学習者を冒頭から苦しめる「鬼門」の一つとして恐れられています。

英語の the に当たるものが 16 種類(男性・女性・中性・複数× 4 格)ある!と知ったときの、あの驚きと絶望。

定冠詞に不定冠詞、所有冠詞など、次々と登場する冠詞類の数々。しかも、こんなに複雑でありながら、実際の運用面では、多少間違っていても意味は通じることが多く、逆に冠詞や格を正確に表現しようと強調して発音すると、母語話者にかえって不自然に響くことすらある、苦労の割に報われない事柄でもあります。

それならば、もっと単語(動詞や名詞)を覚えよう、会話フレーズを身につけよう、と学習者が考えるのも仕方ないことで、こうした事情を反映してか、ドイツ語参考書の多くは、総合的な文法書か、文法の仕組みを解説した読み物、単語帳、会話フレーズ集、もしくは検定対策問題集などが多く、冠詞と格変化を重点的に取り上げた書籍はあまり見当たりません

 冠詞も格変化も、実際にドイツ語圏に生活して使いこなす中で自然と身につけていくのが理想的ですが、誰もがドイツ語圏に長期滞在できるわけではないと思います。

練習問題は3段階のレベルで全930問

 そこで、日本にいながら冠詞と格変化に触れられるような参考書、それも解いて解いて解きまくることができる問題集を作ってはどうか、と考えたところから本書は生まれました。 執筆に当たっては、基礎から応用に無理なく進めるよう、問題のレベル分けをするとともに、中・上級者向けの内容(不定代名詞の einer や welcher、冠飾句を作る問題など)も取り入れました。

 例文の作成に当たっては、新型コロナウイルス感染症の流行後に用いられるようになった単語も取り入れ、ドイツ語圏の最新の社会事情にも触れられるように配慮しました。また、日常会話で多用される表現も取り入れましたので、ぜひ問題を解いた後は、完成した文を音読して、表現力アップを図っていただきたいと思います。


●出版社サイトの書籍ページからは、巻末収録の解答PDFをダウンロードできます。


【本書のもくじ】
第一部 冠詞・格変化をマスターする
 定冠詞と格変化
 不定冠詞と格変化
 定冠詞か不定冠詞か
 2格の用法
 3格の用法
 4格の用法
 前置詞と定冠詞の融合形、前置詞の熟語表現
 前置詞の格支配
 動詞の格変化
 定冠詞類と格変化
 否定冠詞の格変化
 所有冠詞の格変化
 不定代名詞の格変化
 所有代名詞の格変化
 定関係代名詞の格変化
 指示代名詞の格変化
 人称代名詞の格変化
 再帰代名詞の格変化
 疑問詞werの格変化
 不定関係代名詞werの用法
 形容詞の語尾変化①強変化
 形容詞の語尾変化②弱変化
 形容詞の語尾変化③混合変化
 形容詞の語尾変化④形容詞の名詞化
 男性弱変化名詞、その他の名詞の語尾変化
第二部 総合問題

【著者プロフィール】
辻󠄀 朋季(つじ ともき)
明治大学農学部准教授。慶應義塾大学文学部卒、筑波大学人文社会科学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。在フランクフルト日本総領事館に2年間勤務、ベルリン自由大学に計3年間留学するなど、ドイツ滞在経験が豊富。ドイツ語学習で苦しんだ経験をもとに、外国語が苦手な学習者の視点に立った授業を心がけている。


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