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【算数】長針と短針の角度がN°になる回数

アナログ時計を利用した問題は数多に存在します。大多数は「◯時を過ぎてから、短針と長針が□°になるのは何時何分?」で、速さで割り算するだけの問題ですが、「左右対称になるのは?」「短針と長針の中心は?」「数字が書いてないが?」「6時間で一周する針ですが?」「長針だけ反対周りですよ?」みたいにファンタジーも入ってきます。

【問題】角度と回数について

午前0時00分から正午12時00分までの12時間の間で、時計の長針と短針のつくる角度が60°になる回数は□回です。

慶應義塾中等部 2019年

【解答】不合格バージョン

わりと多くの受験生はこれに近い考えで解くでしょう。

  • 60°÷(6−0.5)°/分=$${\tfrac{120}{11}}$$=10$${\tfrac{10}{11}}$$分 …最初に60°になる時刻

  • (360°-60°×2)÷(6-0.5)°/分=$${\tfrac{480}{11}}$$=43$${\tfrac{7}{11}}$$分 …次に60°になるまでの時間…①

  • 60°×2÷(6−0.5)°/分=$${\tfrac{240}{11}}$$=21$${\tfrac{9}{11}}$$分 …次に60°になるまでの時間…②

  • 以降、①と②と繰り返すので、調べていくと、0時10$${\tfrac{10}{11}}$$分、0時54$${\tfrac{6}{11}}$$分、1時16$${\tfrac{4}{11}}$$分、なんとかかんとか…

  • よって、合計22回

この解法は、「ご飯どこで食べる?」と聞いたのに、「とりあえず昨日は何食べた?その前に出身どこだっけ?てか家の冷蔵庫何入ってる?」とか質問攻めしてくるタイプです。

【解答】合格バージョン

  • 長針と短針が重なっている状態から次に重なるまでの間に60°になるのは、もちろん2回(長針と短針の角度は0°→180°→0°と増減するので、その間の全ての角度が2回ずつ作られるため)。

  • 長針と短針が重なる回数は、すなわち短針が長針に追いつかれる回数。(長針の回転数-短針の回転数)=12回-1回=11回。よって、2回×11回=22回。おわり。

【補足】市販の本バージョン

ちなみに市販の赤い過去問題集を見ると、「2時と10時は60°ぴったりだから、1回ずつしか現れない点に注意して…」のように、問題を12等分して場合分けする方法が書かれていました。じゃあ59°だったらどう解くんでしょうね。


はっきり言って、受験勉強をしていない小学生でも解けますね。算数を解くときには、小難しい解法に当てはめるよりも、まず鳥瞰してシンプルに考えられるのが強いです。これは頭の中のことなので、身につかないまま放置されやすい課題です。いかに振り返りの際に学ぶ姿勢があるかで変わってくるでしょう。

※作られる角度が「0°」「180°」の場合は22回ではなく11回となります。
2023年8月29日

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