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シリコンバレーで革新的サービスが生まれる2つの理由

一週間(2019年3月17日〜22日)アメリカ・カリフォルニアに行ってまいりました。

カリフォルニアのサンフランシスコ・サンノゼ周辺。

世に言う、シリコンバレーってやつです。


今回はプライベートではなくお仕事です。

キャンパスベンチャーグランプリという日刊工業新聞社さん主催の学生向けビジネスプランコンテストがあります。

そこで優秀だった大学生もしくは大学院生たちに、賞品として「シリコンバレーに行って現地のビジネスマンに自分たちのビジネスプランをプレゼンする機会」がプレゼントされるのですが、当然学生たちだけに行かせるわけにいかないよね、ということで大人が同行するわけです。

そして今回、メンターという立場でそのツアーに同行をするという機会をいただきました。

メンターというのは、海外で奮闘する学生たちを経営者の目線で側面支援するという立場です。しかしそこは、数百件に及ぶ応募を勝ち抜いてきた精鋭たち。「サポートって、そんな必要?」って思うくらい、大変自立した学生の皆様でしたので、めっちゃ楽でした。

意識高い大学生はすごいなぁ。



さて、そんなツアーでしたので、私も彼らにくっついていく形で、現地で様々な方々と交流をし、いろいろな話を聞いてきました。

基本的にはベンチャーキャピタリストを中心とした、現地のビジネスマンたちなので、リアルな現在進行系のシリコンバレーを感じることができました。

このツアーを通じて、「1人の経営者」というより「1人のビジネスマン」として思うところがいくつかありました。特に「なぜシリコンバレーで革新的サービスが生まれるのか」という私個人の疑問について感じたことを、備忘録的な意味合いも含めここに残しておこうと思います。

(一週間弱滞在しただけで何がわかるんだよ、って言われそうですが)


(こちらは名門・スタンフォード大学。めっちゃかっこよかった。グッズいっぱい買っちゃった。)


①起業家を応援する文化

まずこれです。

一言でいえば、「起業家、神」

あるベンチャーキャピタルさんは、起業家のことを「ヒーロー」と呼んでました。前提として、起業をする人は偉い、尊いということです。そして街、というより地域全体がそれを後押しする文化があります。

たとえば、ライドシェアアプリのUber。これは、車に乗りたい人と車に載せたい人をマッチングするアプリですが、カリフォルニアでは大変な浸透ぶりです。

アプリを起動して車を呼ぶと、ものの5分もしないうちに車がやってきます。しかも呼んだときに目的地を指定しているので、料金は呼んだ時点で確定。アメリカでありがちなチップも、降車後にアプリ上で金額を指定して支払い。すべてキャッシュレス。

何度もUberを使いましたが、変なドライバーさんもおらず、めちゃくちゃ快適。

何人かにUberについて尋ねましたが、ほとんどすべての人たちが愛用しており、もはやタクシーは使わないのだとか。


こんなに便利なアプリなのですが、日本では使用することができません。なぜならタクシー業界が強硬に反対をしており、国が規制を撤廃しないからです。

一方シリコンバレーではなぜこれが許されるのか。それが冒頭申し上げた「起業家を応援する文化」です。

シリコンバレーで、地元の日系人議員さんと懇談する機会があったのですが、その際彼女が「私達に課せられている仕事は、起業家たちが成功するための手助けをすること」と明言しておられました。政治・行政が、こういった起業家を全面的にバックアップしているのです。

規制なども、もちろんある程度考慮には入れるものの、できるだけ弾力的に運用をしているようです。

タクシードライバーさんたちの雇用をどうするのかとか、安全性をどう確保するのかなど、確かに考えねばならぬ問題がたくさんあるので、日本が規制をし続けている事自体の是非はここでは問いません。しかし、いずせにせよUberが存在しかなったとしても、規制・既得権益がんじがらめの日本からUberと類似のサービスが生まれることはありえないということだけは間違いないと思います。

(UCバークレーの施設で実験的に開店しているお店「B-box」。注文うけたらロボットがコーヒーやジュースを出してくれます。大学がスタートアップ企業をこんな感じで支援しています)

②集まる人材と受け入れやすい風土

とにかくカリフォルニアには人材が多種多彩です。

私が5日間で出会い、言葉を交わした現地の方々の出身地を挙げていきましょう。

日本、中国、ロシア、イタリア、フランス、インド、台湾、パキスタン、カナダ、シンガポール、韓国・・・・

もちろんツアーの中身的に、様々なビジネスマンと会う機会があったという側面はあるものの、これだけの国籍の方々といっぺんに会える場所は世界中でもそうそうないでしょう。

シリコンバレー周辺(というよりカリフォルニア)にはスタンフォードやUCバークレー、ちょっと足を伸ばしてUCLAなど全米屈指の名門大学がいくつもあるだけでなく、サンノゼ州立大学や様々なコミュニティ・カレッジなど地域にある優秀な大学が多く存在し、素養のある人材を集めて鍛える教育機関がそろっていることも見逃せません。

もともとカリフォルニアにはアジアを中心とした移民が多く、決して白人ばかりではないという社会がベースにあります。ですので、多様な人種・人材を受け入れる風土があるのです。

実際の比率も
白人系 57%
黒人系 7%
アジア系 13%
ヒスパニック系 37%
(引用:アメリカ・地域ランキング
といった具合です。

全米での白人比率は75%ですので、この57%という比率はかなり低く、州別ランキングでは、ハワイ州・ワシントン州に次いでワースト3位。

前提として、カリフォルニアは他のアメリカの州と人種構成が全然違うということが言えるわけです。

世界中から人が集まり、そして実際に来た人材が地域に溶け込みやすいという風土があるんですね。



というわけで、まとめると起業家を育てる文化と、多様な人材を集める風土と土台。この2つについては、シリコンバレーが革新的なサービスを生み出していく強い特長だと思います。

一方でこれを日本で真似するのは、なかなか難しいなぁと感じました。


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