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誰かのおかげじゃないぜ

CDショップで商品棚を眺めていたら、さわおさんがやってきて、いつものセクシーな甘い声で「久しぶりじゃないか」と言う。

驚いてしどろもどろしていると、「最近、見かけないんじゃない?」と言う。私は「すみません、ちょっと最近はライブは行ってないんですよねーピロウズ以外も全然行ってなくて、、」と言い訳をする。
さわおさんは、「ライブやるからさぁ、来てよ」と言ってくれた。「行きます行きます、もちろん!すみませんでした!!」と私は言う。

、、、という夢を見たのは数ヶ月前。

さわおさんに直々に言われたしなぁと思って久しぶりにザ・ピロウズのホームページを見ると、ちょうどツアーの予定があった。しかも今回のツアー、19年前にリリースした2つのアルバムの完全再現をするという。これは山中さわおのお告げでしかない。先行発売の抽選に落ちながら一般販売でなんとかチケットを手に入れる。

で、の昨日なんである。

ワンマンライブは、とても久しぶりだった。ピロウズはあちこちのフェスの常連で、そこで会うことが多くて、ついそれで満足してしまう。ワンマンだとステージから遠いし。

けど、今回、やっぱりワンマンいいな、と思った。というか泣きました。普段のフェスのライブでは聞けない昔のアルバム曲は身体中の音楽細胞を活性化させ、いつもライブでやるファンにとっては特別な曲「Funny Bunny」は何度聞いてもいい曲。

キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ
風の強い日を選んで 走ってきた

この歌詞が、やっぱりいい。
日本人的な「いやー私なんてそんなそんな、みなさまのお陰です」というセリフが嘘くさいとか非難したいんじゃない。

ただ、評価してくれたり、助けてくれる「誰か」のことなんか考えなくても、充分がんばってるじゃない、充分、君は素敵だよって、肯定してくれる。

ピロウズの曲は、おしゃれな割には、オルタナティブロックの卑屈さがやっぱり根底にあって、メジャーじゃない、つまりイケテナイ存在である。

そもそも、今の時代に、ファッションとしてじゃなくてロックが好きで、ガチのツアーTシャツ着て拳を振り上げるのは、おしゃれじゃない。

だけどそれが、いい。

目の前にいない誰かや何かを軸にするんじゃなくて、今の自分の立っている場所を軸にすればいい。

他人が好きなもの、意味のあること、素晴らしいこと、やったほうがいいこと、みんなが憧れること、、それはそれでいいかもしれないけど、だからって自分が好きになれなかったら、関係ない。

自分の世界は自分の好きなもので満たせばいいんだって思った。

私の甥っ子は、4歳だが、興奮するとチックの症状が出る。頭や肩がピクッとなって、それがめちゃくちゃ可愛い。

ライブ中、興奮しすぎて、周りの人や自分の仕草が、もはや踊りじゃなくてそのチックの仕草に似ていることに気づいた。

不随意運動。自分では制御できない動き。

頭を振って音楽に没頭したいけど、さわおさんのかっこいいお姿も見たいという葛藤。

とにかく、なんていうか、またライブ行こう。ダサくて全然構わない。

#エッセイ #thepillows #returntothirdmovementvol2


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