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ポットの要塞

子どもとお菓子の間に障害物を置く。これが、最近の我が家の鉄則だ。

1歳2ヶ月になった我が子は、いろんなものに手を伸ばす。特にお菓子を見つけた日には、ものすごい速さで手を伸ばし、小指の先ででも片鱗を掴むのだ。昨日も、小皿に載せた磯部煎餅をやられた。あげられるものならば分けてあげるけど、チョコレートや醤油のきいた煎餅は、まだ時期尚早だ。そこで編み出したのが、上記の方法である。

子どもの目の真前にそびえ立つコーヒーポット。ポットの脇には、柚子やコップのカモフラージュも欠かさない。私はその要塞の向こうにある、見えない小皿に手を伸ばす。子どもは、私の膝の上にちょこんと座り、目の前に置かれたポットに映るマットな世界と黒い手すりをじっと見つめている。

我が子よ、目に映る世界がすべてだと思うなよ。視点を変えて見える世界はきっとずっと広く果てしない。