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改めてNPO法を勉強してみた

市民活動サポートセンターのあんbeです。

先日博多にて、認定NPO法人アカツキさんが主催するNPO法勉強会に参加してきました。
昨年末に法人運営セミナー「協力の具体的な技術を身に付ける」にご登壇いただき、NPO法の立法に携わった、協力世界代表松原明さんを講師として、立法までの過程やNPO法の趣旨について学びました。

勉強会を通じて、NPO法に対する理解が深まったように思いますので、学んだこと(自分で調べたものを含む)をメモがてら残したいと思います。

NPO法のあらまし

従来、ボランティア団体や市民公益活動団体は、利益を求める活動ではないため会社組織は似つかわしくなく、公益法人は制度上理事の責任が重くトラブルになりがちで、また資本金など設立の要件が厳しかったりし、法人格を取得することが困難だったため、団体としての法律行為を行うことが出来ない等、様々な不都合が生じていました。

コンメンタール(逐条解説)の冒頭には、平成7年1月の阪神・淡路大震災を契機に立法に向けた機運が高まったように書いてありますが、もっと以前から議論は始まっていたとのことです。

まぁそれでも発災後、全国的なボランティア活動や国際的な協力、支援が積極的に展開され、より多くの国民がNPO活動の必要性を認識したことに違いはないかと思います。

一説によると、被災地に集まったボランティアは全国から延べ130万人、寄付金は例年の4倍を超える1720億円が集まったそうです。凄まじいエネルギーですね。

このとき活躍したボランティア団体のほとんどが法人になっておらず、社会的な認知もないうえ、寄付金の免税団体でもないことが、制度上の欠陥として各方面から指摘されました、
このような状況の中で、
「市民活動団体が簡便に法人格を取得すること」
「『公益性』を行政側ではなく市民社会側が判断すること」
「そのような公益的な活動に対して税の優遇措置を与えること」
を目的として、議員立法により、特定非営利活動促進法(平成10年法律7号)が平成10年3月に成立し、同年12月1日から施行されました。

位置付けとしては、旧民法34条(公益法人)の特別法のような感じ?
公益法人や中間法人とまとめる案があったそうですが、それは倒れたそう。

市民の、市民による、市民のためのNPO

NPO法第1条にはこの法律の目的として、以下のように書かれています。

「この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること並びに運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人の認定に係る制度を設けること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。」

へーって思いました?
この文言、公務員にとっては違和感があるそうです。
私は感じていませんでした。(1年目からやり直し!)

ポイントは、「市民が行う自由な社会貢献活動」。
実はこの後、NPO法のどこにも「市民」とは何か、「自由」とは何か、「社会貢献活動」とは何かについて定義されていません。

「市民」って誰でしょうか?
「自由」とは何でしょうか?
「社会貢献活動」とはどんな活動でしょうか?

行政の言う公益は全体の8割が賛同できるもの、だそうです。
一方で、市民活動は各々人が各々人の社会的価値、公益、理念を掲げ、その推進を図る活動。

つまり、市民も自由も社会貢献も、(あらゆる法の要件を満たす限りにおいて)自分で決めて活動しているのが市民活動、ということです。

こうした活動の自由度を担保するため、NPO法では行政の価値観の入る余地を限りなく排除した書きぶりになっています。
例えば、第10条第2項は申請書類を縦覧に付すことを、第12条第1項は、申請の内容が法令の規定に適合していれば認証しなければならないことを定めていますが、これは行政があくまで必要書類のチェック機関であり、活動の良し悪しの判断は市民に委ねられていることを示しています。

我々が“所轄庁”という呼び方をされるのもこうしたことが背景にあるそうです。
“認証”についても同様です。よくある許認可とは異なり、所轄庁にその法人の活動の良し悪しの判断基準は設けられておらず、書面として整っているかを確認しているだけ、という位置付けです。

こぼれ話ですが、
震災と同じ年、平成7年3月に起こったのが、地下鉄サリン事件。
NPO法人格は簡便に設立できることを目指していましたが、そうやって設立した法人が悪用されるのではないかと、震災で吹いた追い風が、一気に逆風に変わったそうです。

それでも立法までこぎつけたのには、
現代の価値観の多様化、そしてバブル崩壊後の経済的な成長の停滞により、これまでの行政主導の国家運営体制の見直しが背景にあったからだそうです。

まとめ

今回NPO法の成り立ちを学んだことで、NPO法人をこれまでと少し違った視点で見れる気がします。

ま、北九州市は所轄庁であると同時に、サポートセンターでもありますので、書類に関しても法の趣旨を超えない範囲で、市民にとって分かりやすいかという視点で、アレコレ口出しするスタンスです。(笑)
せっかく活動しているのに、公開される書類が残念だったら勿体ない!だから、その目的や良さがしっかり伝わる内容・見た目にしてほしいんです。

まぁそういう意見もあると捉えて、嫌な顔せず付き合ってもらえると嬉しいです。

今日はこんなところで。

あんbe


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