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ロシナンテス活動報告会に潜入してみた

連日寄稿している市民活動サポートセンターのあんbeです。

今日は3月9日に開催されたNPO法人ロシナンテスの活動報告会に参加してきましたので、その様子を残したいと思います。

法人概要

理事長の川原さんは北九州出身。
スーダンで外務省の医務官としての赴任経験を経て、2006年ロシナンテスの設立に至りました。
主にスーダンとザンビアにて活動中。

そもそも水がない、その地域に学校がなく医師や看護師を育てられない、などの事情がある発展途上国において、
巡回診療をはじめ、医療従事者の育成や井戸を掘り給水施設を作る、あるいは学校を建てるなども、医療につながると考え、あらゆることを含めて「医」と表現し、国際協力活動を行っている団体です。
現在スーダンでは昨年4月からの内戦により入国が難しく、現地活動が停止されているようです。

また、ロシナンテスは、約300ある北九州のNPO法人のうち、特例含め9つしかない認定NPO法人の一つです。

ふるさと納税を活用した協働のまちづくり推進事業

今回開催された活動報告会は、当課で今年度の新規事業『ふるさと納税を活用した協働のまちづくり推進事業』で採択された『アフリカから学ぶ国際教育プロジェクト』の一環として実施されました。

本事業は、NPO法人が実施する、市と協働で実施する地域課題解決に資するプロジェクトについて、ふるさと納税で寄附を募り、集まった寄付金をプロジェクトへの補助金として交付するもの。

本プロジェクトは、変化の激しい現代に適応し、国際社会で活躍できる人材を育てるためのプログラムです。
NPO法人ロシナンテスと学校等が連携し、子ども達及び市民に、地球規模での視野を広げる学びの場を提供しています。

活動発表会

印象に残ったお話をいくつかご紹介します。

発展途上国の地方では、まだまだ病人には伝統的な薬草や呪いで治療しているような“部族”社会。
ある村で活動しようとすると、族長の信頼を得る必要があるため、まずは族長を被験者として診察し、族長が認めた治療がその部族で実施することを許してもらえる。
こうして少しずつ部族に入り込んでいくとのことです。

面白かったのは、
伝統的な薬草を一概に否定するのではなく、逆に日本に持ち帰り、大学病院が連携して成分や効能を研究しているところでした。
輸入する医薬品は高価であったり、今のスーダンのように内戦となれば物流も不安定になるため、薬草の効能が確認できれば、薬が地産できるというわけです。
薬が地産できれば、安価かつ安定的に生産することができるだけでなく、ロシナンテスがその地域を離れた後でも自立して薬剤を提供できるようになります。

また、ザンビアではマザーシェルターの建設や、エコーの導入を行っているとのこと。

病院にマザーシェルターを併設することで、これまで陣痛がきてから数時間歩いて病院まで行っていた妊婦に、予定日が近づいた段階で予め入院してもらうことで、出産前後の母親が適切な医療を受けられる環境が提供できるようになりました。

エコーの導入は、診断技術の向上と早期治療の促進に役立ちます。
オンラインでエコー画像を送信する技術が生まれたことで、
エコー機器を使っている人は素人でも、遠隔やAIによる診断が可能になっているとのこと。
ただ、このやり方には現場の従事者が育たない問題があります。

また、エコー機器にしても、上記のような最先端機器は非常に高額で数百万円します。
そのため、敢えて質を落として手の届く価格帯のエコー機器を製作してもらったとのこと。
安価なエコー機器では日本人医師でも正確な診断が難しいレベルにまで画質が落ちますが、現場の判断が難しい場合は大きな病院での再診を促せばよく、より重要な課題である命に関わる疾患の早期発見には十分なのだそうです。

また、エコー画像により赤ちゃんがお腹にいる様子が見れます。
これにより、今までお母さんを一人で診察に行かせていたお父さんが同伴するようになったという副次効果があったというほっこりエピソードも聞けました。

薬にしてもエコーにしても、その地域の文化や慣習、医療レベルが尊重された、実現可能な、またロシナンテスがいなくなった後も再現可能な方法を模索していて、何よりロシナンテスの提供する医療知識やスキルが現地の人材に蓄積するように活動を考えられている印象を受けました。

おわりに

報告会では、胸が締め付けられるような悲しい話、日本では考えられないアフリカの話、逆にアフリカでも日本と同じなんだと思えてクスッと笑える話、同じ日本人(北九州市民)が世界で活躍する勇気の出る話、
色々な感情が体験できました。

ロシナンテスは日本でも災害支援活動を行っているほか、全国各地で講演会を開催しています。

  • 平和についてNGO創業者の考えを聞きたい

  • 日本からできることを考えたい

  • 国際協力NGOの活動に関心がある

という方はぜひ一度お話を聞きに行ってみてください。

あんbe


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