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本の紹介:大人「だから」できる上達

大人には大人の、上達の仕方がある。

子供や若い人の身体・脳、スピードなんかには年々、到底及ばなくなっているし、
時間の使い方も集中力も違うだろう。
だろう、とかじゃなくて、実際違うんだなということを、年々ひしひしと感じてる。
昔ほど頭は回らないし身体は動かないし時間の使い方も変わってる。

でもそれは、決して嘆くばかりの事実ではないんだよね。
以前はがむしゃらにやるしか知らなかった「上達」のしかた。
大人になった今は、違うやり方があるんだってことを、ここ数年でたくさん学んだ。

誰かに教わらなくても自分で調べて理論から攻めることができるし、
効率の良い方法を、長年の経験から自分で編み出すこともできる。
より自分にとって「善い」と思う先生を自分で探し・選ぶことができるし、
その「善さ」も盲目的で一面的なものではなく、色んな視点から決めることができる。
そして何より、だれにも強制されてないから、ひたすらずっと、楽しむことができる。

「うまくなり方が、うまくなった」

そういう風に感じてる。
先日読んだ稲垣えみ子さんの「老後とピアノ」は、
そんな私の実感にも、これから先のうまくなりたいことへの希望にも、明るく軽快に寄り添ってくれるエッセイだった。

先に私自身の経験の話をすると、アレクサンダー・テクニークとの出会いはとても大きくて、
建設的で合理的で、かつ自分に優しくて、心身ともに負担が少なく、そしてずっと実験的でいられる、というこのワークの本質は、
「うまくなり方」を見つけていくのに本当に役立ってる。
毎日、歌を練習するのが、ピアノを練習するのが、ワクワクする。発見の連続。

さて。
この本はアレクサンダーと直接関係のある本ではないのだけど、
やりたいこと・上達したいことを見つけた大人の皆さんに、きっとたくさんのヒントや視点をくれると思う。

新聞社を早期退職なさって、50歳を過ぎてからクラシックのピアノを始めた著者が
(しかもご自宅にピアノがないって!興味深い!)
どんな気持ちで、どんな視点で、どんな工夫と失敗を重ねながら、ピアノと・音楽と一緒の人生を楽しんでいらっしゃるかが、コンパクトで楽しく書かれてるんです!

視点も練習を進めていく過程も、アレクサンダー・テクニークとも親和性が高いと思うし、
手を痛められて以降の内容は、あーーーーーーーわかる!これは私も生徒さんに伝えたいこと!と思う内容がたくさんあった。
(途中に紹介されている書籍「ピアニストならだれでも知っておきたい『からだ』のこと」は、アレクサンダー関連の本でもある。「脱力」と本書に書かれているのは少し誤解があるかもしれないけれど)

もう年もとったし、今更何か新しく始めて、しかもうまくなるなんて…
って考えがちょっとでも頭をよぎった方に、読んで欲しい!
大人になったから、やりたいことを本当にやりたいっていう気持ちを大事にして上達していける。
そういう勇気とか、ハッピーな気持ちを、見せてくれる本。
(そしてあわよくば、アレクサンダーにも興味を持っていただきたい。笑)

読んでくださりありがとうございます☆サポートで美味しいコーヒーショップのミルクティを飲んで、またよい記事が書けるようにお勉強します!