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せんすい島とすうちゃん

私の名前は菫。
みんなからは、すうちゃんと呼ばれている小学5年生なんだけど…最近学校に行きたくないんだよね…
それはなんでかと言うと勉強が最近よく分かんない…
みんなが分かる事が私には分からない…
そんな私に見かねた先生が教えてくれるけど…そのせいで授業が止まるのが嫌でたまらない、みんなが私を見ているようで恥ずかしいし…私のせいでみんなに迷惑をかけているんじゃないのかって…
それからは授業が辛い…
苦しくて苦しくてもう一人じゃ辛くてパパとママに相談しよかと悩んだ…でも上手く説明出来るだろうか?
不安で心臓がドキドキする…それに説明が出来たとして、パパとママに学校にちゃんと行きなさいって言われたら、どうしょう…
でも不安でも言わなきゃ…もう辛いって言わなきゃ…私はリビングのソファで喋っているパパとママに意を決して
「あの、あのね…パパとママにお話があるの…」
そう言うとパパが飲んでいたコーヒーをテーブルに置き
「どうかしたの?」
優しく聞かれ
「実は…私…しばらく学校に行きたくないの…それは、あの、…その…うっ…ぐす…」
下を見たまま、やっぱり上手く話せない…こんな事も上手く出来ない…涙が出て来た。
ママがソファから私の前に膝を付き下から私の顔を覗き込んで来たけど私はママの顔を見る事が出来ずにいるとママは私の手を握り微笑みながら
「すうちゃん泣かないで?…そう…辛かったわね…ママすうちゃんの事…気付いてあげられなくて…ごめんなさいね。大丈夫、大丈夫よすうちゃんが学校をお休みしたいのならそれで良いのよ?ねぇパパ?」
ママがそう言うとパパはママの横に立ち私の頭を優しく撫でながら
「うん、そうだよ、別に学校に無理して行かなくてもいいんだよ?すうがすうの気持ちを大事にすれば良いんだ、すうが辛いとパパとママも辛いからね」
私が?私の気持ちを大事に…パパとママの言葉は私の心を少し軽くしてくれた。私はパパとママの顔を見て
「いいの?本当に?私…学校に行かなくても?怒らない?」
「怒らないよ、ねママ?」
「そうよ、すうの思うようにしていいのよ」
「本当?…ありがとう…パパママ…私…ぐす…」
泣く私をママが強く抱きしめ
「すうちゃん…これだけは絶対に忘れないでパパもママもすうちゃんが本当に大好きよ」
パパとママが優しく笑ってる。
良かった…2人に呆られたらどうしょうって、でもパパとママは私の気持ちが大事だと言ってくれた。
でも私の気持ち…?ってなんだろう?今はよく分かんないけど…分かる時がくるのかな?
その時になれば私は私の事好きになれているんだろうか?
私は私が嫌い…人より理解が遅いし…それを上手く人に伝えられない…。
でもそれが私…大嫌いだけど…パパとママは、こんな私の事大好きと言ってくれる。
でも大好きって凄い言葉だ。
嬉しいし心がポカポカして私は大丈夫だって勇気が出る。
パパとママに相談して本当に良かった。
色々考えないといけないけど、明日から心のお休みだ。

翌日学校にはママから連絡してくれて先生も
「学校に来たくなったらいつでもいいから先生に連絡くれると嬉しいです。」
と言ってもらえた。
不安だけど頑張らないと!
とりあえず私は、お家でダラダラしないように朝は何時も通りに早起きしてママのお手伝をして、それから苦手な勉強、私はママに正直に、勉強が分からない事を言うとママはニッコリと手を叩き
「じゃあ!最初から順番にやってみましょうか」
私は、一年生から勉強を始める事にした。
ちゃんとやってみると分かる事が多かった。
学校だと先生に聞くのが恥ずかしいとかで、結局聞けずにいて分からない事がそのままになっていた。
でも相手がママだと色んな事が聞けて分からなかった事が理解出来た。
嬉しい!世界が広がるってこう言う事か!
勉強が少しづつ楽しくなって来た。
そうこうしてると今日の分勉強が終わった。ママが
「さあ、今日はここまでにしましょうか?」
そう言うと私はうんと頷き教科書とノートを手提げにしまい
「ママ今日の御飯何にする?」
「どうしょうか?すうは何食べたい?」
うーんと考えて
「カレーが食べたい!」
「じゃあ、今日の晩御飯はカレーにしましょうね?」
「やったー!」
そう言って2人でスーパーでお買い物をしてママと一緒にご飯を作る、一緒と言っても切るとか剥くは怖くて出来ないけど調味料を量るのとか、御飯を炊くのは出来るようになった。最初は出来なかったけど今じゃ完璧!
「すうが手伝ってくれるお陰でママとても楽しいわ」
ママが誉めてくれた!楽しい!
そして作っているとパパが帰ってきて皆でご飯が出来て食べるの、そしてご馳走様をするとパパが洗い物をしている時に私はママと一緒に、お喋りしたりするこの時間が私は大好きなんだけど、夜だから直ぐに眠たくなっちゃうのが困る…私が不意に欠伸をするとママが時計を見て
「ほらほら、すうちゃんもう眠る時間よ?」
「えー、もうちょっと…起きてたい…もっとパパとママとお話したいのに…」
洗い物を終えたパパが手を拭きながら
「駄目だよ、すう?もうお休みの時間だよ、お話だったらまた明日聞かせて」
「うん…分かった。ふわぁ~、それじゃあ、お休みなさいパパママ」
あくびをしながら言うとパパとママが
「お休みすう、良い夢を」
「お休みなさい、すうまた明日」
私はパパとママに手を振り階段を上り私の部屋に入って…いつも通りにベットに入って寝た筈…だよね…?

なんでだろう……目が覚めると、其処には今にも沈みそうな夕日が見える…ベットからその風景を見ながら
「は?え??もう夕方?なんで?…それに、ここ何処?私確か…家に居たはず…?何で…!」
寝惚けた頭でベットから飛び起き辺りを見渡してもここが何処なのか分かんない…布団を握りしめてパニックになってると心臓がバクバクと嫌な音を立てている…一旦落ち着こう!そうだ冷静に!こんな時は深呼吸だ!目を閉じて
「すうー、はぁー、すうー、はぁー、よし!」
目を開けて見たが…やっぱり何処ここ?…知っている所じゃない…こんな所知らない…私の家は住宅地でこんな野原みたいな場所は知らない…それに何で私のベットがこんな外に置かれているのか…ドッキリにしてはこんな事をする意味が分からない…考えたく無いけど…パパとママが私にこんな嫌がらせをしたとか?私は大声で
「ママ!パパー!」
叫んで見たけどママとパパどころか人も居ない……段々と心細くなって布団を握りしめた。
頭の中に嫌な事が浮かぶ…私もしかして…パパとママに捨てられた?
本当はパパとママは私の事が嫌になって…私が寝ている隙に、ここに捨てられたとか?
…私が悪い子だから…ちゃんと学校に行ってないから…?
「…う、グスッ、捨てられちゃたのかな…パパママ…」
布団を被り心細くて泣いていると
「どうしたのー?」
「どこか、痛いのー?」
「お腹すいた?」
明るい声がした。
「え?」
ビックリしてベットの回りを見ても黄色い植物が風に揺れているだけで誰も居ない…何これ、もしかして…お化け?段々怖くなり慌てて、またお布団に潜り込みじっとしてると、また
「どういたの?」
「寒い?」
「お腹いたい?」
お化けは何故か私の体の心配してくれる…もしかして良いお化けなんだろか?私はお布団にくるまり、恐る恐る震える声で
「誰?…誰か居るの?」
すると明るい声で
「いるよー」
「いるねー」
「ここだよ?」
その声は楽しそう…それも三人?お布団から顔を出して辺りを見ても誰も居ない…やっぱりお化けだから見えないのかも…
「あの…私お化けさんと仲良く出来ないので…ごめんなさい!」
ガバッとお布団の中に隠れていると
「お化けってなに?」
「おいしい?」
「僕の方がおいしいよ!」
その答えに?と顔を出して
「お化けじゃ無いの?」
聞くと
「お化けじゃ無いよ?」
「ここだよ!ここー!」
「おいしいのは僕だけどねー」
…その言葉に恐る恐る布団から顔を出すと目の前に…キノコが3本生えている…まさか、これ?違うよね…だってキノコは喋らないし…いやでも…私は試しに
「もしかして…私に話かけたのは君達?」
すると目の前のキノコが、うんうんと頷き
「そうだよー」
「僕達だよーすうちゃん!」
横に揺れながら
「おいしいよー食べる?」
くるくる回ってる…
何故だかやたら友達みたいに喋りかけて来た…何で?それに
「怖い、何で…私の名前しってるの?」
「僕達友達だからー」
「友達!」
「おいしい友達!」
もう既に友達らしい…キノコが友達…なんか嫌だ…。
あれ?でもこのキノコ達を何処かで見た事があるような?どこだっけ?
「うーん?…私キノコに友達居いないよ…それに私キノコ嫌いだし…」
「キノコが嫌い?」
「キノコおいしいよ?」
「キノコすうちゃん大好きだよ?」
何だろう、このキノコ達と話が通じないように感じるのは…意味が分からない…どうなっているの?私はマジマジとキノコを見るとキノコ達は嬉しそうに揺れてる…どうなんだろう、
「見て見てすうちゃん僕可愛いでしょ?」
そう言われキノコの柄を見ると確かに綺麗な緑に可愛い黄色の水玉…でも食べたいかは思わないけど可愛い…そうすると今度は横のピンク色をしたキノコが
「私の方が綺麗だよ見てすうちゃん!」
そう言って私に柄を見せた。そんなキノコの柄に綺麗さは求めて居ないんだけど…そう思いながらキノコを良く見ると今度のキノコは水玉じゃなくて波の模様の赤色をしてる…これまた食べる気がしないキノコだと感心していると、最後のキノコが
「僕も見て!」
身を乗り出して来た、そのキノコ自体は茶色で一番まともに見えた。
私は3本生えている中でピンク色をしたキノコを試しに抜いた。
するとピンクのキノコは揺れながら
「いただきますする?」
「うわ!」
思わずビックリして、そのまま力一杯投げた。
なげられたピンクキノコが
「きゃー!」
楽しそうな声で地面にポトリと落ちた。そして大きな声で
「着地!」
そういい地面に生えた…色々訳が分からない…
「あのさ、何で私のベットに生えてるの?」
そう聞くとキノコ達がヒソヒソと相談し始めた。そして…抜いたはずのピンクキノコの所に同じ色のキノコが生えてる…また3本になった…でも今度のピンクキノコの柄が三角やら四角の模様で、こちらも食べようとする気が起きないキノコだった。
それにしても…抜いても抜いてもキノコがまた生えて来るのだろうか?確かキノコは菌で繁殖するって習ったけど…私のベットに…菌が?それは、なんて言うか困るんだけど…
それに何で私のベットにキノコが生えるんだろう…もうキノコが喋るとかどうでも良くなってきた時キノコ達が楽しそうに
「あのね、僕達ずっと、すうちゃんといつも一緒に居たよ?」
なかなかに怖い事を言われた…
「えー?嘘だよ?すう君達の事知らないよ…?それにベットからキノコは、ちょっと…」
「でも僕達すうちゃんの友達だもん」
「そうだよー」
「うん、うん、僕達すうちゃんの大好物!」
勝手に好物認定された。
「違うよ!すうキノコ食べないっていってるじゃん!」
そう言うとキノコが不思議そうに
「何で?キノコおいしいのに」
「うん、うん!キノコおいしいよね」
「おいしい味!」
茶色のキノコが言うと緑色のキノコとピンク色のキノコが
「おいしい味ってどんな味なんだろうね?」
「うーん?お腹イッパイな味!」
本当に意味が分からないけど、このキノコ達のお陰で不安な気持ちが薄れていた。やっぱり一人じゃないからかな?
私は、うん!とベットから出て
「よし!このままじゃ駄目だよね!」
人を探そう!と決意をすると、キノコ達が
「すうちゃん、お出かけ?」
「うんうん!じゃあお着替えしないと!」
「やったー!」
どんなテンションだよと思いながら
「でも、私の服無いよ?」
私の服はタンスの中だし、そう言うとキノコ達が
「あるよー?」
「そこに」
「着替え」
キノコ達の目線の先にいつの間にか私の服が畳まれている
何でベットに?私…昨日に限ってベットに服置いた?そんな馬鹿な…畳んであった服を手に取ってビックリ
「あれ?これ、おばあちゃんが私に買ってくれた服だ」
白いパーカーに赤茶けたキュロットスカートに赤い靴下に白いスニーカー…服だけじゃなく靴下も靴も全部揃ってる…どうゆう事?意味が分からないけど、今必要だし着替える事にしたけど…うーん
「こんな外で着替えるの抵抗が有るんだけど…」
そういっても仕方ないかと服を掴むと地面に放り投げたピンクキノコが
「すうちゃん!すうちゃん!こっち、こっち!ハーイ!どーん!」
呼ばれて見るとキノコがムクムクと人一人が入れるぐらいの大きさになり
「私を使って良いよ!」
どういう事これ…
「え、私…たべられないよね?」
服を持って躊躇しているとピンクキノコが
「すうちゃんっておいしいの?でも私の方がおいしい!負けない!」
何故かピンクキノコがおいしさで競ってきた。
うん、多分大丈夫そう、私は服一式をもってピンクキノコの中に入るとキノコの傘の部分から薄い膜のような物が出てきて試着室のカーテンらしき物が…私は思わず膜に触れて見ると柔らかで不思議な感覚…それに外からだとキラキラして中が見えない…だったら大丈夫かなっと下を見ると床って言ってもいいのか何か白いふわふわしたものが降り積もってる…なんだろうこれ…裸足で乗ると温かくて気持ちが良い…するといきなり足元からポップコーンが弾けるよな音がした。
ビックリして下を見ると
「誕生!」
ピンクのキノコが生えてる…
「うわ!」
驚いていると大きな試着室のピンクキノコが嬉しそうに
「生まれた!生まれた!すうちゃん!食べる?」
え?…と言う事は、このキラキラしてるのはキノコ胞子って事…私ここに居たら、私の体からピンクキノコが?
怖い考えになり急いで着替えた。
着替え終えてホッとしていると、急にお腹が鳴った。
しまった!と思ったが…それを聞いたキノコ達が騒ぎ始めてしまった…。
「すうちゃん!すうちゃん!僕!おいしいよ!」
「何言ってるの私の方がおいしい!」
「すうちゃん!見て見て!ここ!ここがおいしい感じがする!」
「おいしい感じって何…?怖いよ!いやそもそも私キノコ嫌いっていってたじゃん…ちゃんと私の言葉聞いて?」
「一口だけでも!」
「お願い!」
「匂いだけでも!」
イヤイヤ、どうもこの会話おかしいでしょ
「ぐーぐるる…」
まずい…究極の空腹の時の音だこれ…キノコ以外に何か無いかなとパーカーのポケットに手を入れると手に何か当たった何か有る!
ゴソゴソと取る出すと一口大のチョコレートがあった。やったー!
「すうちゃんそれ、なあに?」
「茶色いよ」
「僕と同じ色だ!」
手に持ったチョコレートをキノコ達に見せて
「これは、チョコレートだよ甘くておいしいんだよ」
そう言って包装からチョコレートを取る出して口の中に入れると、口一杯にチョコレートの甘さが広がった。
「うーん、やっぱりおいしいー」
そう言うとキノコ達がコソコソと
「僕達の方が美味しそうだよね?」
「うんうん!あれは勝った!」
「となると…僕は同じ茶色だから…あまくておいしいってことか!」
何か意味が分からない事をいってる…キノコはキノコで絶対チョコレート味にはなんないと思うんだけどと思ってると、口の中のチョコレートが無くなった。これだけじゃ足りない、まだ何か無いかな?ポケットを探ると今度は飴が出てきた。迷わず口の中に入れてカラカラと舐めながら、よし!と気合いを入れて
「ちょっと、大人の人を探して来るね?」
キノコ達に言うと
「いってらっしゃい」
「早く帰ってきてね」
最後の茶色のキノコが焦った声で
「待って待って!僕も一緒に連れていって!」
「えー!一緒に行くの?うーん良いけど…摘めばいいの?」
「ちょっと待ってね、ハイ!どっこいしょ!どっこいしょ!」
変な掛け声と共に茶色のキノコの傘の部分がプクーと大きくなってく…でもさっきのピンクみたいな大きさじゃなくて帽子ぐらいの大きさだ、黙ってみてると
「よし!うん、これぐらいかなー、すうちゃん僕を被ってね」
この感覚段々慣れてきたかもと、キノコの傘の部分に触れると簡単に外れた。
「え、これ…被るの?」
「うん!僕も一緒にお出かけ!」
…まぁ一見見た目ハンチング帽に見えるけど…私キノコ被ってる変な子に見えないよね?もし知り合いにでも見られたら…終わるような
「うん……まぁ、いいか…大丈夫だよね?」
「うんうん!大丈夫だよ!キノコおいしいし」
「うんうん!キノコ可愛いし、私の方が可愛いけど」
「早く行こうよ、すうちゃん!」
もう、何でもいいか…とにかく日が暮れる前にお家に帰りたい。
「それじゃあ、行ってくるね」
「いってらっしゃい!」
「迷子にならないようにね?」
「大丈夫だよ、僕がいるから!」
帽子から声がする…う…うん慣れないけど
「…成る程便利だね?…微妙だけど」
気を取り直して
「んじゃ、いってくるねー」
キノコ達に手を振って野原を足早に駆けた。


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