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陳徳聚堂

台南に行った時には必ずここに泊まると決めている宿がある。
その宿の窓から、この建物の赤い屋根が見下ろせる。他の廟とは違い邸宅形式になっているのが上から見るとよくわかる。
表向きには陳家の氏族の宗廟として建てられたらしいが、実際はもっと複雑な事情があるようだ。ここでは書かないが、気になる方は「陳永華」「陳沢」で調べてみるとよいかもしれない。

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南国の青い空に映える鮮やかな廟宇。風が紅いランタンを揺らしながら扉を抜け、しんとした廟宇の中を吹き抜けてゆく。

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ここは大抵誰もいない。
管理をしているとおぼしき人が入り口付近にいることもあり、そんな時は「你好」と慣れない中国で挨拶するけれど、本当に人っ子一人いない時もある。
扉が開いている日があったりなかったりとその辺りが不確かなのと、大きな路地を入ったところにひっそりと建っているのが理由かもしれないけれど、ここで「観光客」らしき人を見たことがない。
私だけ、なんてことがあるはずはないし、実際にこの広いスペースを利用してイベントなどが行われたこともあるようなので、単にタイミングの問題だろうけど。

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中央に陳氏始祖の神位。その両脇も陳氏一族のものであろう神位が並べられているだけで、道教の神像などは祀られていない。
ここにいると静謐さを感じるのはそのせいかもしれない。

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丸和飾りの座付けに使われているのは吉祥紋である蝙蝠。

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創建は1664年頃。その後、第二次世界大戦で被害を受け再建された。直近での修復は2000年だそうだけれど、屋根の上には既に草木が根付いていて、この建物に古蹟らしい趣を添えている。 

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夕暮れ時、この近くに住んでいるのであろう親子が今は駐車場になっているこの廟宇の前庭で遊んでいた。

【陳徳聚堂】 
 元台湾三級古蹟,現在は台南市直轄市定古蹟
 台南市中西區永福路2段152巷20號
 入場無料  水~日 9:00~17:00   月・火 休み
 ※土日だけ開いているという話もあり、かと思えば水~日の間でも閉まっている時もあり…要するに不定期かと…。実際、私が行った時にも開いていたのでゆっくり見学したのだけど私が建物から出た途端にお爺さんが扉を閉めていた。何も言わず急かすこともせず、ただ待っていてくれたお爺さん、多謝。


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