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オレンジ色のパッケージ

「恋をすると人間になっちゃう」らしいということを僕は最近知った。不思議と「そうかもな」と思ったのだ。


皆んなは、今日の月を見たかな。
ちょうどヤッホーブリューイングのヨナヨナエールのパッケージのような月で、「あぁ黄色いな」と思ったから、隣を歩く相方にも「黄色いよね」って話した。
「オレンジだよっ」って、「僕は色弱だから黄色に見えている」らしい。
僕が色弱なのは赤と白系なんだけどって思ったけど、言葉にしなかった。

コンビニのビール売り場に秋香るらしい、秋味らしい
オレンジのパッケージが並ぶようになって、
僕はそれに、もう少しだけでも生き急ぐべきなのかなと、戸惑ってしまう。

オレンジのパッケージを手に取って、プルッコシュっと
飲み下して、
「うめぇ」って、内心でホッとしてる。
ビールの味がして、ビールを美味しく飲めるってのは、
僕の健康と、隣の相方のおかげなんだ。

「んー秋味はおなかの減る味だね」って、お酒を飲むようになって4年くらい経つけど、はじめて気がついた。
秋香るこのビールと一緒に、
白いご飯とか、焼き魚食べたくなるのは、
僕がそういう「家庭」に対して少し以上の憧れを持つようになったからかもしれない。

中目黒と池尻の間くらいを僕たちはさんぽしていると思う。

ちょっと小高いビルなら、月と肩を並べられる。
この視界に、見上げる月に、必ず建物が、人の生活の灯火が入り込んでくる都会に、僕はもう慣れた。
山梨から越してきてもうそろそろ9ヶ月が経つ。
1人の時、有って無いような月さえもを見上げて、
半分泣きながら歩いて、そうして夜を歩きこなして来た。
ちょっと足りない月が明るいと、僕は不思議と嬉しいと思う。

相方が、僕には黄色に見えてる月をオレンジって言うから、試しに、人が住んでると思われる建物の一個一個の灯りは何色かと聞いた。

普段から僕は何かにつけて、
この2人の恋愛について話をする時、
声に出しているかは少しあやふやだけれど、
「月まで行こうって話なんだよな」と、思っている。

そう思っているから、
人の住む灯りも、当然、オレンジ色にパッケージされていて、だから、相方が言うように、やっぱり今日の月もオレンジで良いんだって、そう思った。

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