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研究室選び


どのラボで博士号をするかという問題について、たくさんの人に連絡を取って、いろいろな話を聞きました。人によってどれを優先するべきかのアドバイスが全く異なり、考え始めると本当に難しいと思います。最終的には悔いのない選択ができたと思っていますが、途中何度も放棄したくなりました。

具体的な私自身の話はさておき、まずはその中でもらったラボ選びのアドバイスを箇条書きにしたいと思います。


1.研究テーマの面白さ

2.資金の潤沢さ

3.ボスとの相性

4.ラボメンバーとの相性

5.研究手法

6.どれくらいの数論文を出しているか

7.どれくらい良い雑誌に論文を出しているか

8.研究設備

9.過去に博士号を取った生徒がいるか

10.同年入学の生徒の人数

11.メンターとなって教えてくれる人はいるか

12.働いている人たちがハッピーか、悪いうわさが立っていないか

13.ラボのある場所


1.で安全なのは、結果がなんであれ面白い(結果によって論文にできるかが変わってこない)プロジェクトが一般的に理想とされています。博士号の目標にもよりますが、メインのプロジェクトはリスクが大きめで面白いものを、それとは別にデータがでることがわかっている、もしくは時間のかからない安全なプロジェクトをサイドで持っておくことが推奨されます。そのあたりもラボを訪問した時に聞けると理想です。

6.7.については分野にもよると思います。また、ある人は「ポスドクばかりに論文を書かせるラボもあるから、生徒がファーストで論文を書いているかどうかを見るように、と言っていました。

10.については、同年に卒業の生徒が3人以上ともなると、卒論を提出前にしっかり見てもらえる可能性が低くなるとのことでした。9.と合わせて博士号卒業に向けてのサポートがしっかりしているかというところのようです。

12.については、火のない所に煙は立たぬ、ということで少しでも悪いうわさを聞いたらやめておいたほうがいいよ、と言ってくださった教授がいました。

人間関係はやはり大切ということで、必ずラボを訪問するときにラボメンバーに話を聞くこと、その際PIのいないところで話を聞くこと、それが許されないところは避けるようにと多くの人がアドバイスしてくれました。博士号の生徒の仲が良すぎるのはラボに立ち向かうための団結の可能性もあるので気を付けるようにともいわれました。個人的には、そこまで懐疑的になる必要はないかなと思います。ただ、仲が良さそうでも、なんとなく変な雰囲気がしたら避ける、というのは正しい選択かもしれません。

13.について、外的環境は思っているよりも精神に影響するので、好きだと思える場所で暮らし、働けることはとても大切です。

私は地理的、時間的にいろいろなラボを訪問することができたので迷いましたが、多くの人は論文だけ見て志願することを考えると悩むだけ贅沢な話かもしれません。ケンブリッジ大学に留学している日本人の方々は私の知っている限りみんな頑張って優秀に卒業していくので、最終的にはよっぽどのことがない限り大丈夫なんだと思います。もし本当にラボが悪ければ、やり直しになったとしてもそのことが不利に働いたりはしないので大丈夫です。


私の場合について少し振り返って書いておきます。

私はやる価値のあることだと思えないと頑張れない偏屈なところがあるので、1.はとても重要でした。

また、研究手法としてはcomputationalなプロジェクトをしたいというのが第一にあり、将来得られる医療データを解析できるようになっていたい、geneticsは生物学の知識を得るうえでとても重要なファクターだ、という認識があったので、5.も重要でした。それに伴う設備が必要(パワフルなコンピューターやsequencingの設備など)という意味では2.8.も重要でした。

人間関係は日々の幸福度に直結するので、3.、4.もとても大事でした。

それから、computationalなプロジェクトにかかわるうえでどうしてもたくさんのことを学ばなければならず、私は本からよりも人から教わる方が好きなので、11.も重要視しました。

結果として、最近できたばかりの野心的な小さなラボで、最近論文を出し始めたようなラボですが、ラボメンバー同士やボスとの距離がとても近くすぐにサポートを得られるような環境で博士号を始めました。1年がたって、今のところ悔いはありませんが、また博士号が終わったころに振り返って同じテーマで記事を書こうと思います。





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