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Grade9: I was not chosen

.…そんなある日みんなが撤収していく中Hage、Fちゃん、私の3人でホールにずっと残ってた時がある。
いや、正しくは鏡の前に備え付けられた手すりに座ったHageとFちゃんが珍しく2人っきりで話し込んでるのを見てあれ〜?と思って私が近づいたんだった。

ホールの壁のイメージはこんなかんじ。
片側の一面だけ鏡ばりになっていて、こんな感じに手すりが付けられてた。


私がいる中でFちゃんと話すHageはもう何度もみてたけど、2人っきりって珍しい。なんかおかしいと思った。
会話の中に入っていくと流れるどことなく気まずい空気 んん〜?

どんだけホールの中のエアコンが寒すぎるかとか、誰の手が冷たいかとか3人でお互いに手を握り合って確かめてた気がする。

そんな様子を遠くから見守っていたらしいKさん。
「え〜なに3人でいちゃいちゃしてるの!もしかして2人付き合ってんの?!」と私とHageに対してチャチャを入れるKさん。

Hageと普通に仲が良かったG9の記憶は、私は抹消させてしまったのではっきり覚えてないんだけど、これ以外にもずっと練習中にちょっかい出しにくるHageをKさんはずっと見守ってくれてたんだと思う。
同級生同士だし、付き合うとしたらこの2人だろうって思ってたんじゃないかなとも思う。
この時以外もHageと付き合ってるんじゃないの?とか聞かれてた気がするし。

だけどKさんのツッコミに気まずい雰囲気を醸し出し始めたのはFちゃんとHageだった。

完全にこの2人なんかあるなと確信を持った。
そして、確か、会話の中でHageはFちゃんをいつもの「名字呼び」ではなくて「下の名前呼び」をしたことで確実になった。

HageはFちゃんと付き合ってるんだ。

正直にいうと、なんで?って思った。
彼が好きなのは私だと思ってた。
なぜなら、この頃のMSNログを読んでてもHageはチャットしながら毎晩のように何時間も私に電話してくるし、SMSも毎秒ごとに送ってきてたから。
それに私のことはずっと同級生の日本人の女の子にもしない「下の名前」で呼んでたのに。Fちゃんを下の名前で呼んだあのとき、彼は初めて私の「名字」を呼んだ。

あ〜私はFちゃんに負けたんだな。

そう思った。

だけど私はやっぱり気づかないふりをするのが得意で。
なーんもわかってないおとぼけの振りをしてその場を凌いだ。

あの時、私はHageが好きだったのかどうかさえもう分からない。
あの時は少し気になってたと思ってたんだろうけど。今の自分があの時と同じ気持ちを感じれたとしたら、一番近い存在だった人が急に遠くなったことが寂しかっただけなんじゃないかなと想像する。

付き合い始めて数ヶ月経ったあとのFちゃんとHage
幻の写真

後になって2人が付き合ってることが公表されて、学校中が知ることになる。
いつもHageがしていた当時はやってたラバーバンドを、Fちゃんが身につけていたり女の子の前ではサバサバの男勝りを装ってたFちゃんがHageの前ではへにゃへにゃの女の子になってる姿がちょっと、ほんとにちょっとだけ、ツンと心に刺さった。

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