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ビリーブの朝

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信じる者が救われない純愛小説
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第1話 饂飩屋の信仰

第1話 饂飩屋の信仰

茜色に染まる空に響き渡る祭り囃子。
鈴や笛、太鼓に三味線の不協和音が、町のいたるところに設置されてあるスピーカーから大音量で流れている。
道行く人々は皆一様に精気を失ったような顔をして、まるでジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」を観て影響を受けた多感な中学2年の男子生徒が生ける屍の真似をするかのように、ゆらゆらと歩いている。

町はそのような死者で溢れ返っていた。
町の人口を遥かに超える屍人の群れが、

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