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詩|Candy

飴細工みたく
生きてみたかった

宇宙をアメに閉じ込めて
えいやと噛じったら
おなかいっぱいに
悲しみが広がって
綺麗な涙が
空気に溶けちゃうような

結晶化した悪夢をアメに閉じ込めて
こなごなに砕いたら
サーカスが現れて
シュールな曲芸中に
スコールが降って
世界が水浸しになっちゃうような

底なしに
楽しそうなことだけアメに閉じ込めて
ちょっとずつ舐めてたら
つまらなくなって
手がベタベタになって笑っちゃうような

ともだちなんかいらないと
嘆く涙をアメに閉じ込めて
虹に放り投げたら
盗み聞きされて
猫に笑われちゃうような

喉の奥に詰まった
吐き出せない何かをアメに閉じ込めて
ひとりでこっそり舐めてたら
ふだん話さないあの子と
変に仲良くなっちゃうような

本当のことはアメに隠して
まるっと全部
見えなかったらよかったのに

無垢だったあのころの私は
目に映るものすべてに
弄ばれて疲弊して

やさしいあの子がくれたアメだまを
ゆっくり舐めてる暇なんかなくて
夜になったら日記を書いて
来年の春のことばかり考えてた

リネンの枕はいつも濡れて
ループする夢の中で
レモネードを飲んでるような
ろくでもない青い春だったけど

私はたまにあのころを
をもいだしては
レモ「ン」味のキャンディをなめるだけ





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