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むかしむかし、

むかしむかし、で始まる絵本も好きだけど、もっと好きな絵本がある。


フレデリック

うつろな目のネズミのお話。
レオ=レオニの絵本はどれも素敵で、絵の素晴らしさもさることながら、お話も素敵。
スイミーなんて勇敢で、そして賢くて、かっこよくて、大好きだ。

フレデリックのかっこよさは、スイミーとは違うかっこよさ。

彼は、働かない。
仲間たちが冬のためにせっせと働いていても、働かない。

じっと何かを集めている。


小さい頃の私は、フレデリックの何が好きだったのかな。
と、考えてみた。

まずは、可愛い絵。
切り絵が可愛い。

ネズミはふわふわで、石はいろんな灰色があって。
ネズミのおめめはまんまるで。

でも、フレデリックはいつも眠そうで。いつもじっとしている。

みんなが冬に負けそうになる頃、フレデリックは動き出す。
さすが、詩人の谷川俊太郎の訳だ。
フレデリックは詩人で、オンステージで語り出す。

最後の頬がぽっと赤くなるフレデリックが可愛い。

フレデリックはみんなに楽しい冬をプレゼントした。フレデリックはカッコイイし、かわいいんだ。

小さい頃は多分、素敵な絵と音が好きだったんじゃないかな、きっと。


大人になって読んで気づいた。
仲間のネズミたちの気のいいこと!

フレデリックが働かずにじっとしてても、ちょっと腹を立てるくらい。
一緒にふゆごもりだってするし、フレデリック、何を集めたんだい?なんて聞いてくれる。

だーれも、悪くなくって、ただ季節が変わってゆくだけ。

そんな中で、フレデリックは、大事なことを教えてくれる。
でも、大事なことを教えてくれるのは、フレデリックだけじゃなかった!

また、絵本フレデリックが好きになった。


それと、モノクロの世界に色がつくのが、好き。
フレデリックが集めてたものは、お日様の光に、いろとりどりの世界、たくさんの言葉たち。


世界を色づかせるのは、こころなんだな。


じゃあもし、フレデリックみたいな人が身近にいたら?
って考えたら、気の短い私はイラッとしてしまうかもしれないなと思った。
好きになるのは、間違いなくスイミーだと思う。

でも、それでもフレデリックが好きなのは、現実主義を生きていない彼に憧れているのかもしれない。

フレデリックにはなれなくても、フレデリックの仲間くらいの気持ちは、持ち合わせていたいなあ、なんて。


前回は「む」で終わる記事でした。

次回は、「し」から始まる自己紹介。

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