岡部紗々

ゆめとうつつの透目を探している。

岡部紗々

ゆめとうつつの透目を探している。

最近の記事

嫌い

人のこと嫌いって言うな。 その人のこと見ると 君の嫌いなその人になる そう顔に磔されて拭えなくなる。 その人に対する私だけのバロメータが侵略されて故障する、 人のこと嫌いって言うな。 きみのバロメータ、ぐちゃんぐちゃんの けちょんけちょんになってしまえ。 誰かのこと嫌いって言うな。

    • 6日目の蝉

      そうか、きみ、でもいつか死んじゃうんだね もういいよ、何も喋らないで 死んじゃうの? いつかね いつか死んじゃうのか うん うん

      • 19

        人をパノラマみたいに覗きながら、 私は大人になった。 人であることにやっと追いついた頃、 もうこの世界とはおさらばしたくて、 そして私は、 カラスのあの綺麗な羽になりたかったです。 でもね、 切り離す瞬間、一つだけ器用にすくい取るつもり。 それは誰の涙なのか知れないけど。

        • さびしさ

          不忍池の黄緑色を横目に歩く。 そういえば、 母は私を不愉快に思うらしい。 そうして、 私はかかとをコツコツ鳴らす。 人生は夢だらけと口ずさむ。 それから、 水たまりを飛び越える。 ちょっと下手くそに飛び越える。 午後からは晴れるかしら。

          癪なあの子

          これちょっと持ってて、一瞬もってて、 >もつよ? いいよいいよ。 >そう、じゃあまた辛くなったら言ってね。 うん、でもそれちょっと癪だなあ。 あ、合図決めよ、辛くなったときの合図。 >なにそれ うーん、 高速まばたき。 >なにそれ

          癪なあの子

          旋風

          君のつむじの匂いを 別の人から感じ取った。 それはちょっと退屈で、でも懐かしい色の風。 あんなことがありました、 こんなこともありました。 そして最後に一つ言づけるとしたらさ、 梅雨の日にはちゃんとリンスするんだよ。 そこでぱちんとつむじ風。

          朧月夜

          オママゴトみたいな世の中で 君の手のひらだけは本当だと思うんだ。 一欠片も落としたくなくて目をつむる。 それで新宿駅で目をあけると、 沢山の人が見えるでしょ。 その情報量の多さは参るんだけど。 君の手のひらが黄色やオレンジ色や桃色や ときどき群青色なんかにちらちら輝いているのは ちっとも煩くない。 きっと、もっと燃えたって構わないよ。 お月さまがちょうど満月の頃合いだった。 窓ガラスはお月さまを朧月に変換してて、 じゃあ君の放つその色たちは あちらか