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思い出の本を手放した


最近、9年間、手元に置いていた本たちを手放した。
理由は他に読み返したい本たちができたからだ。

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私はお気に入りの本をよく読み返す。
自分が落ち込んでいるときだったり、リフレッシュしたいときだったり……お気に入りの本はメンタル不調の特効薬になる。

その座を長年務めてきた8冊の本たちは本棚の上段右端にいつもあった。
本棚のメンバーは目まぐるしく変わっていたが、その本たちだけはずっとそこにあった。
何かに詰まる度にその本たちのどれかを引っ張り出して読む。
本の世界へ逃避行し、落ち着きややる気を取り戻す。
好きな世界だと分かっているから、気分も上昇するし、元気になる。
そんな風にたくさん読み返したから、他の本と比べてだいぶ手垢が付いていたし、大体どこに何が書いてあるか、手の感覚で探せるようになっていた。

新しい本を読むようになり、以前より引っ張り出す機会が少なくなっても、その本たちが特別であることは変わりなく、その本たちを上段右端に置き続けた。

私は一生、その本たちはその場所にあり、手放すことはないと思っていた。


その気持ちが揺らいだきっかけは今年6月、あるシリーズものの本を読み返したこと。
最初に読んだときから強烈な感動を覚え、普通の本より長い期間手元に置くことになるだろうと思った。
しかし、その本たちを読み返したとき、細かいところをしっかり読んだためか、さらに好きになり、その予想は確信に変わった。

それどころか、その本たちは読み返し十八番枠になった。
つまり、自分が詰まっていたり、落ち込んだりしているときに引っ張り出す本がそのシリーズものの本たちに変わったのだ。


そして、最近、本棚および収納ボックスの容量が限界を超え、もういくつかの本を手放さなければならなくなったので、ずっと手元に置いていたあの本を手放した。

新しく読み返し十八番枠の本たちができたこと、最近買った本の中にしばらく手元に置いておきたい本がたくさんあること、新しい本もたくさん買いたいなどから、あの本たちを物としては手放そうと決めた。
頭の中の思い出にしてもいいかと思った。

再び読みたくなったら、そのとき買おうと思う。
買って後悔しないことは分かっているから。





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さて、この出来事には、もう1つの側面がある。
それは、好きなジャンルの変化だ。

私はここ4年ぐらいでBLが好きになった。
最初は二次創作から商業BLコミックと徐々に沼にハマっていき、商業BL小説を本格的に読み始めた6ヶ月前からは沼にすっぽり入った。浸かった。
そして、それと同時並行的に男女のラブストーリーを読まなくなっていった。

ずっと手元に置いていた本たちは男女のラブストーリーだった。
その本たちが好きなことに変わりはないが、一方でBLを好きになった私がその本たちを読み返すこともなさそうだと思った。
だから、思い切って手放した。


私の中で一種の区切り、嗜好の変化を象徴する出来事だった。






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