araby

ドラマと本と珈琲と、起きれないけど朝が好きな人間です。

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    今までに書いた短編小説をまとめています。

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エッセイで書けるほど私の人生に色はない

noteにはエッセイやブログが多く存在している。 ここにいる全員が特徴を持っていて、自分たちの生活を発信している。 仕事から恋愛、食べ物や動物に至るまで、みんな何かしらの熱意と個性を持ち合わせている。その上文才まであるという、まさに人に二物三物を与えられた人間たちの集合体。 読んでいるだけで自分を哀れに思い涙が出てくる始末で、易々と読んでなどいられない。 わたしには個性がなく、ただの人間でしかない。それでも他の人と同じように好きなこと、好きな人、好きな食べ物、好きな動物はあ

    • 在宅ワークでメイクなしの生活を続けると不思議と自己肯定感が上がった

      昨年から新しい仕事を始めて、完全な在宅ワークとなった。 まったく家から出ずに仕事をするのは初めてで、顔を知らない同僚とチャットだけでやりとりをするのは不思議な感覚だった。 在宅のメリット・デメリットは色々あると思う。全く話す相手がいないのはしんどいと感じたり、一人が楽と感じたり。 人と会うことは何かと気を使うから、私にとっては楽だと感じる点が多かった。 メイクも在宅が楽に感じる理由の一つで、元々メイクに興味がないこともあって、人と会うときにわざわざしなきゃいけないのが億劫

      • もしも、運命だと確信ができなかったら

        ふと、電車の中で、となりに座る見知らぬ人の方に頭をもたれかけたくなった。頭を左へと傾けて、薄いベージュの色をしたロングコートの肩口にそっと乗せる。もしかしたら、相手はすぐに肩をずらして、無言のまま、頭をどけてくれと伝えてくるかもしれない。あるいは、人をぞんざいに扱えない性格で、文句の一つも言わずに本を読み進めるのかもしれない。そしてさっきまで読んでいた一文を、もう一度読みなおす。 本当は、この人が私の人生にとって、なくてはならない運命の人だったら? これが最初で最後の出会い

        • なんの変わり映えもしない日常

          毎日をただ生きている。 友だちにLINEして、近況やくだらない話をする。 久しぶりに連絡をした友だちからは、返事がなかったり。 毎日おなじ時間の電車に乗って、毎日おなじ人たちがいる場所へ向かう。 なんの変わり映えもしない日々。 好きな生活とは言えない。 それでも過ごしていくしかない。 たまにはケーキやポテトを買って、自分を元気にしてあげる。 変わり映えのしない日々に、耐えるためのご褒美。 なんの変わり映えもしない日常。 もうすぐ変われると信じて、その一日を乗り過

        • 固定された記事

        エッセイで書けるほど私の人生に色はない

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          5本

        記事

          ダサいセーターを着た私を笑った

          私が着たセーターを見て、彼女は笑った。まるで昔のアメリカンシットコムに出てくるキャラクターがクリスマスに着るような、色鮮やかなで柄柄のセーター。私は笑われて、胸が痛くなった。それでもいつも通り、笑って返した。 「このセーターは由依のだっけ?」 私はそのダサいセーターを着たまま、由依に向かって尋ねた。由依はいまだに笑いを引きずりながら、クローゼットにしまっていた私たちの服を掻き出していた。 「私がそんなド派手なの買うわけないじゃん。」 そうだろうなと思う。由依はいつも黒と

          ダサいセーターを着た私を笑った

          【小説】階段を登る

          その階段は、終わりが見えなかった。 彼はもうすでに何時間も登っていて、今さら引き返す気にもなれなかった。 階段を登りながら彼はひたすら頭の中にあった記憶と思考を掘り返していた。それ以外にできることはなかったのだ。 空調はほどよく効いていて、歩いているかぎり汗は掻かない。彼の足先はもう感覚を失っていて、気を抜いたり止まりでもすれば今にも後ろへ倒れてしまいそうだった。そうして死ぬのは構わない。だが、ここで倒れてしまっては今までの努力が無駄になる。その思いだけが彼を前へと押し進め

          【小説】階段を登る

          ニートは今日もよく眠る

          最近、深い眠りにつけるようになった。 半年ほど前の私は、うまく眠ることができなかった。 疲れた体でベッドへ入っても、いつも1時間は天井をながめていた。 夜中にはいつも目が覚めた。トイレへ行っても、なにも出なかった。 眠れないのは仕事のストレスが原因だった。 ストレスは、氷水に手をつける感覚と似ている。 慣れてしまえば、それまでの「ふつう」を忘れてしまう。 わたしは、うまく眠ることすらできない自分を責めた。 うまく生きられない自分を嫌った。 嫌うべきなのはわたしではな

          ニートは今日もよく眠る

          本当の自分を隠さずに生きて得られるものとは。

          幼い頃は、本当の自分を全力で隠していた。 好きな人、好きなアイドル、好きなアニメ。 人から変だと思われることを極端に嫌い、好きなことをひた隠しにして生きていた。 好きな人と話せて一日中頭の中でリピートするほど嬉しくても、それを共有する人はいない。 好きなアイドルのライブについに参戦できても、次の日には暇な日曜日を過ごしていたような顔で学校へ行った。 よく友達から「何考えてるのか分かんない」と言われた。ミステリアスと言えば聞こえがいいが、要するに何も言わんからよく分からん

          本当の自分を隠さずに生きて得られるものとは。

          20歳を過ぎてから「好き」が増えた

          高校時代や大学生の頃には、花の魅力をまったく知らなかった。 花を貰うことはないし、卒業式に一本もらっても、扱い方も分からずに花瓶にさして置いていた。 花を渡す相手は、花が好きなおばあちゃんだけだった。それも、ただおばあちゃんが一番好きな花を選んで渡していた。 そんな私だったのに、23歳頃になってなぜか急に花が好きになった。正確にいえば、人に花を贈るのが好きになった。 今では記念日や誕生日などには、その人に似合うと思った花を自らで選んでプレゼントするほどまでになっている。

          20歳を過ぎてから「好き」が増えた

          この春、私はwebデザイナーになりたい。

          仕事を辞めてから、もう5ヶ月が経つ。あっという間に過ぎた短い5ヶ月だった。 仕事を辞めたのは自分のしたいことではなく、ただ"安定"しか見ていなかったから。安定だけでは毎日9時間を無駄にする価値がないと知ったのは、働き始めたからだった。そこから行動に移すまではこれまでの私の人生における選択の中で何よりも素早く、仕事を辞めてからすぐにwebデザインを学ぶために学校へ通い始めた。 webデザインに元々興味があったわけではなく、存在すら知らなかった。 知ったのは、フリーランスにな

          この春、私はwebデザイナーになりたい。

          マリファナを吸うか、選択を迫られた大学生の話

          カナダでマリファナが合法化された2018年10月、私はカナダのとある都市で留学生として生活していた。 マリファナ、日本名にして大麻。生来関わることのないものだと思っていた。 しかし、そこはカナダ。着いてから1ヶ月も経たないうちに、街を歩きながらたばこを吸っている喫煙者の中に、独特の臭いを放つ人々がいることに気がついた。 ただ臭いんじゃない、今までに嗅いだことのないような変わった香り。そして誰に言われるまでもなく、それがマリファナだということを悟った。 私がカナダに到着

          マリファナを吸うか、選択を迫られた大学生の話

          ネガティブで悩み事が多い人が楽に生きるには。

          仕事帰りの電車の中。 お風呂に入っているとき。 ベッドに入って眠りにつくまでの間。 私は常々、人間関係の悩みや将来の不安などに頭を支配されている。 悩みをどうすれば解決できるのかと頭の中でこねて、必死に考え続ける。考えて答えが出ることもあるが、それがいい結果に繋がるとは限らない。 またどれだけ考えても答えが出ず、ただ疲労して終わることだってある。 人間関係などは特に解決法がないことが多い。 友達との不仲や恋人とのすれ違いは自分の考えがどれだけ正しいものだとしても、それが

          ネガティブで悩み事が多い人が楽に生きるには。

          若者が変わっているのに、大人は変われないのか

          性差別、女性蔑視、LGBTQ+への差別・無理解、性犯罪の重大性。 世の中で次々と問題が巻き起こり、SNS上でいくつもの批判が上がる日々。 女性を軽視して、男性とは違う扱いを当たり前かのように行う男性への批判。 男性へのセクハラが問題視されないことに対する疑問。 未成年に抱く性的欲求を正常だと言い張る人への憤り。 世界が変わっても、日本はいつまでもLGBTQ+に大して「普通に生きる権利」を与えてくれない悲しみ。 問題発言と、それに対し疑問や怒りを抱く人たちの間には大きな溝が

          若者が変わっているのに、大人は変われないのか

          夜にひとりで散歩しながら音楽を聴き、演奏している妄想をする瞬間は、誰にでもある必要なもの

          友達Aと久しぶりに会って、近況報告のような話をしながらご飯を食べた後、解散しひとり電車に乗って最寄駅まで帰ってきた。 暑くて外に出るのも嫌だった日からはもう1ヶ月は経っていて、気づけば夜は上着なしには出られないほど寒くなっていた。その日はパーカーの上に薄いジージャンを着ていた、そんな気温だった。 歩きながら、さっきAと話した会話を思い返していた。 Aは大学時代の友達で4月から事務職をしている。私と似た状況だったが、Aは仕事がそれほど苦痛ではないらしい。周囲の人は優しく、仕

          夜にひとりで散歩しながら音楽を聴き、演奏している妄想をする瞬間は、誰にでもある必要なもの

          踊りは不幸か幸せか

           街中で急に踊り出した女がいた。なんの音楽もかかっていない。彼女は自らの口で音楽を奏で、踊り始めた。音楽を奏でるなんていうと高尚なものに聞こえるが、ただ素人が突然歌いながら踊り出した、それだけだった。  周りの人は唐突に始まった下手なミュージカル劇に感動するわけもなく、あっけにとられ呆然と見ているか、危険人物と即座に判断し、目を合わせないようにしながら足早に去っていくかの2択であった。私がその場で唯一、どちらの行動も取らなかった人間だ。  この光景はもう100回は見てきた。

          踊りは不幸か幸せか

          人生で一番うまかったラーメンは、温泉帰りに彼女と食べたラーメンだった。

          今日のような、真夏の暑い夜だった。 これから3連休が始まるという金曜日に、二人で花金を祝いに飲みに行った。 仕事終わりによく行っていたグランフロントにある餃子のお店で、わたしはレモンチューハイを頼み、彼女はビールを頼んだ。 ビールをハイペースで飲みながら、餃子をこれまたハイペースで平らげていく姿を見ているだけでもお腹はいっぱいになる。 餃子を食べつつ、連休をどう有意義に過ごすかを熱心に語り合った。食べ終えると、酒でいい気分になりながら、浮つく足を抑えて二人で電車に乗り込む

          人生で一番うまかったラーメンは、温泉帰りに彼女と食べたラーメンだった。