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エンジニアとしての振り返り:改善を妨げる一般的な失敗パターンとその解決策

15年ほどエンジニアとして働き、多くのプロジェクトで振り返りを行ってきた経験から、今回は振り返りの中でよく見られる失敗パターンと、その時見落とされがちな視点についてお話したいと思います。

HOWありきマン

まず初めに「HOWありきマン」について考えてみましょう。これは、問題解決の答え(HOW)を提示する傾向にある人のことを指します。例えば、"xxxできていない"という問題を提起し、即座に解決策を出すようなパターンです。

この場合、しばしば問題をチーム全体で共有し、理解する視点が欠けています。問題が提起された際、「その問題を放置するとどんなことが起きそうか?」という問いを全員で考え、問題提起に至った背景を共有することで、全体の理解が深まります。

原因追及マン

次に、「原因追及マン」です。これは、問題の原因を1つに絞ろうとする人のことを指します。技術的課題に対しては有効なアプローチですが、人間関係や組織体質といった適応課題に対しては、必ずしも一つの正解があるわけではないので、このアプローチは時として時間を浪費することになります。

このタイプの人々に必要な視点は、「問題解決こそが目的である」という視点です。原因追求は問題解決の前段であり、実際は問題を改善することが目的であるべきです。具体的には、原因を追求し過ぎるのではなく、現状の問題を改善するための仮説を立て、それを試行するというアプローチが有効です。仮説を立てて、実施後は評価をするというのがポイントかもしれません。

WHYありきマン

最後に、「WHYありきマン」について考えてみましょう。これは、「なぜ?」を連呼し、振り返りを哲学的な議論に進展させてしまう人のことを指します。時間が無尽蔵にあるかのように話を広げていきます。

このパターンに必要な視点は「いつまでに」という時間軸です。時間は有限であるという認識をもち、完璧ではなく7,8割の合意を目指すことで、時間を有効に使うことができます。具体的には、事前に話し合いの時間を決めてそれを守るという方法が有効です。


これらの振り返りのパターンを見て、「何がよくて何が悪い」と断言するつもりはありません。私たち全員がどのパターンにも陥る可能そのため、私たちが振り返りを行う際には、これらの傾向に注意を払い、自身がどのタイプに該当しているかを自覚し、必要な視点をもって振り返りを行うことが重要です。

合わせ技:視点を補う

上記の三つのパターンは、それぞれ一見すると効率的でないように見えるかもしれませんが、それぞれが持つ視点は無視できない重要な視点です。それぞれの視点がバランス良く働き、噛み合うとき、最も効率的な振り返りが行われるのです。

例えば、'HOWありきマン'の解決策志向の視点は、具体的なアクションを促し、物事を前に進める力になります。'原因追及マン'の深堀りする視点は、問題の本質を探ることに役立ちます。また、'WHYありきマン'の根本的な原因を探る視点は、問題が再発しないようにするための予防策を見つけるのに役立ちます。

しかし、これらの視点は一方的に強調されると、チームの時間を浪費したり、本当の問題点から目を逸らしたりすることがあります。そのため、これらの視点をバランス良く取り入れ、必要に応じて調整することが求められます。

振り返りの実践

振り返りは、チームの成長と改善を促進する重要なプロセスです。適切な視点とバランスをもって行えば、それはチームの力となり、より良い結果を生み出します。私たちが持つ視点が互いに補完し合うことで、最高の結果が得られるのです。

具体的な振り返りの方法としては、定期的なタイミング(例えばプロジェクトのマイルストーンごとやスプリントの終了ごと)で振り返りを行うことが一般的です。その際に、'HOWありきマン'、'原因追及マン'、'WHYありきマン'の視点を意識して、それぞれが持つ視点を尊重しながら、バランス良く振り返りを行うことを心がけましょう。

それぞれのパターンに陥りがちな人々へのフィードバックも重要です。他の人からの視点を受け入れ、自己改善のための気づきにつなげることで、個々人だけでなくチーム全体の成長を促進します。

以上が、私が長年エンジニアとして働き、振り返りの中で見てきた失敗パターンと抜けている視点についての考察です。この記事が皆さんの振り返りの一助となれば幸いです。振り返りを通じて、皆さん一人一人が成長し、チーム全体が向上することを心から願っています。

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