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子どもの頃に好きだった本を読み返す

時々、何かきっかけがあったわけでもないのに子どものころを思い出すことがある。冬の休日の午後、新聞紙を広げながらそのうえでお母さんが栗をむいている姿とか、弟と一緒に紐の先にカーテンフックをつけて壁に引っ掛けて忍者ごっこをしたこととか、友達と家の庭にタイムカプセルを埋めたこととか(我慢ができず1週間後には掘り出していた)、しょっちゅう友達と遊びに行ったアスレチックのある公園とか。

この前ふと、子どもの時に好きだった本のことを思い出した。それが「こそあどの森」シリーズだ。すっかり忘れていたのだけど、あるとき突然その存在を思い出して、実家に帰ったときに持ってきてみた。

表紙を開いたところに、こそあどの森のイラストが描かれていて、それを画用紙に書き写し、そこにオリジナルの家や住民を足した記憶がある。10歳前後の私の絵のタッチは、明らかに作者の岡田さんの影響を受けていたと思う。

20年以上のときを経て、読み返してみた。そうだそうだ主人公の名前はスキッパー。私が誤ってホワイエさんと記憶していたのはトワイエさんだった。

ウニのようなトゲトゲした角を持つ船のようなスキッパーとバーバさんの家、やかんを横にして半分地中に埋めたような家、渦巻き型の貝殻のような家に住む双子…。個性的な家の形が、秘密基地みたいで子供心をワクワクさせ、近所の草ボーボーの空き地に私も隠れ家を作ったりしていた。

読んでいると、自分も雪が降りしきる森の中にたたずむ、暖炉がついた家にいるような気分になる。雪に閉じ込められたそこだけが暖かい空間って、なぜか特別感があるんだよな。それは山小屋でもいいかもしれない。

大人になって読んだから気づけた作品の魅力

子どものころには何も気が付かず読んだけれど、子どもの双子はふたりだけで暮らしているし、スキッパーはあるときからバーバさんと同居するようになるけどどうやらバーバさんは親ではなさそうだし。この物語には親の存在がない。そして学校もない。ただただみんな好きなことをしながら自分の暮らしを営んでいる。不思議な世界。

そしてバーバさんの職業「博物学者」という言葉に好奇心をくすぐられた。

主人公のスキッパーは普段誰にも会わず、会ってもほとんど口を聞かない。音に敏感な子ども。その彼が、バーバさんから贈られてきた「不思議な木の実」をきっかけに森の中の住人たちと交流していく。少しずつ人と関係を築くことが楽しくなっていく。

そんな彼の成長の物語でもあるんだけど、この物語がとても尊いのは、最後に自分にとって幸せな時間を3つ思い浮かべるとき、3つ目がひとりで書斎で本を読んだり化石を眺めたりしている時間を上げること。

人と過ごす時間には楽しさがあるけれど、自分だけの時間を過ごすこと(それは自分らしく過ごす時間とも言いかえられるかもしれない)も否定しないのだ。どちらの時間も、どちらが上とか下とかではなく、それぞれに大切な時間である。人は多面的な生き物だから。

ちなみに読後に、著者の岡田さんの↓のインタビューを読んだら近いことが書かれていて、腑に落ちた。

おそらく、「みんな仲良く」「自分の意見を言える」といったことが理想とされがちな社会において(最近は変わってきている気がするけれど)、それだけを賛美するのではないストーリー展開に救われる人もいるはずだ。

そういえば私が小学生だった時、通知表には「みんなと仲良くできる」みたいな項目があった気がするな。あの項目は今もあるんだろうか。仲良くできないことも、ハキハキと話せないことも悪いことではない(いじわるしり誰かを傷つけてしまうのは良くないけれど。

大人になって読み返して、当たり前から外れたあの不思議な森の世界に、10歳の私が惹かれた理由がわかった気がした。

できれば雪の降る日に、ストーブ(暖炉があればベスト!)で温まりながら読んでほしい一冊。

幼少期に読んでいまも印象に残っている児童文学4選

ちなみに、こそあどの森シリーズを思い出したことから、芋づる式に思い出した幼少期に好きだった本たち。せっかくなので挙げておこうと思う。

多分私と同世代のアラフォーは「あ、懐かしい」と思うのではないだろうか。
これらもいま読み返してみたいと思っている。
みなさんが懐かしい本はありますか? 
もしほかにあれ読んだな〜なんていうのがあったらぜひ教えて下さい。

元気だけど、わがままできかんぼうの保育園児・しげるが主人公のお話集。しげるがなんでもいやだ、いやだと駄々をこねて、「いやいやえん」に連れてこられる話、しげるたちが積み木でつくった船でクジラをとりにでかける話、山のぼりで山の果物を食べすぎてしまう話、赤いバケツをもって保育園にやってきた小ぐまの話など、全部で7つのお話がはいっています。1962年に出版されて以来、多くの子どもたちを夢中にさせた童話の傑作。

積み木で船を作って、それに乗り込んで台風の中冒険する話があったような…なかったような…。読み直して答え合わせをしたい。

お昼寝前に、ミニカーのとりっこでけんかをしたさとしとあきらは、先生に叱られておしいれに入れられてしまいます。そこで出会ったのは、地下の世界に住む恐ろしいねずみばあさんでした。 ふたりをやっつけようと、追いかけてくるねずみばあさん。でも、さとしとあきらは決してあきらめません。手をつないで走りつづけます―。

保育園でよく読んでもらった絵本。私は弟がいたから一緒に押入れの中でよく遊んでいたのを思い出す。

年取ったのらねこからどうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気で出発前にリュックにつめた輪ゴムやチューインガム、歯ブラシをつかって、次々と動物たちをやりこめていきます。エルマーはりゅうの子どもを助け出すことができるのでしょうか?

なぜか子供の頃は、持ち物を一個一個列記する描写が好き(これって子どもあるあるなのかな)で、最初にそれらが列記され、後々そのアイテムが窮地を救ってくれるというストーリー展開が楽しかった。

かわいい花屋のこまったさんが、休みの日にスパゲティを作ります。アフリカゾウがおしえてくれる、おいしいおいしいスパゲティ。

私はわかったさんよりこまったさん派だった。こまったさんが花屋さんだったなんて知らなかった(笑)一番覚えているのはスパゲティでなんでだろうと思ったら、これシリーズ1冊目なんだな。

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