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アルゼンチン南端 ティエラ・デル・フエゴ 世界の果て ウスアイア

アルゼンチン南端

 アルゼンチンから南極へのトンネルはありますか?
 去年のアメリカのニューズウィーク誌のファクトチェックコーナーに取り上げられていた質問である。SNS上で数多く再生されていた投稿についての話題だった。南極へのトンネルがある、という主張の投稿に対してコメントするのが同誌のねらいだったようだ。専門家の見解などで事実を確認する一方で、いくつかの画像クリップをつなげて作った「くだらない」投稿だとして、南極へのトンネルがある、という考えは間違いと結論づけていた。
 面白いな。氷の洞窟の画像も使ったフェイク投稿で、オカルト関連チャンネルの新ネタかと思った。

 南半球。南米大陸。アルゼンチンはその南側に位置する。首都はブエノスアイレス ( Buenos Aires ) 。ウルグアイ、ブラジル、パラグアイ、ボリビア、チリと隣接する。右の海は大西洋、左は太平洋。下に見えているのは南極の南極半島。

 アルゼンチンの南部には、パタゴニアと呼ばれる荒涼とした地域が広がっている。

 チリとの国境線を表示している。大陸と島々の間にはマゼラン海峡。最大の島がティエラ・デル・フエゴ島、通称フエゴ島。島々をまとめてティエラ・デル・フエゴと呼ばれることもある。直訳すると「火の土地」。
 右の島は、かつてアルゼンチンとイギリスの間で起きた領有権紛争の舞台となったフォークランド諸島。現在はイギリス領。

ティエラ・デル・フエゴ

 マゼラン海峡の地形がよくわかると思う。沿岸のプンタアレナス ( Punta Arenas ) はチリの町。フエゴ島はチリとアルゼンチンが分割して領有している。ウスアイア ( Ushuaia ) は下に見える。

 ウスアイアの町はビーグル海峡に面している。

ウスアイアの晩秋

 南極が近いことを考えると、極寒の地に違いないと思えるが、緯度の割には冬の気温がそんなに下がらない。周囲の山々には針葉樹の森林がある。フエゴ島の秋の風景を見ておこう。
 衛星画像は2024年2月10日。

 衛星画像は2024年3月23日。

 衛星画像は2024年4月17日。赤茶けた針葉樹林。南半球はこれから冬に向かう。

ウスアイア

 衛星画像は2024年4月17日。ウスアイアは、世界最南端の都市といわれている。少なくともアルゼンチンはそう主張している。いろんな場所に「世界の果て」の看板が見られる。ズームイン。

刑務所跡の博物館

 フエゴ島には1万年前から先住民が住んでいたといわれる。しかし、ヨーロッパ人が姿を現すようになり、19世紀以降、イギリス、アルゼンチンなどからの入植が相次ぐと先住民の数は激減していった。
 特にアルゼンチンは、フエゴ島を流刑地とするために刑務所をつくった。凶悪犯や政治犯がブエノスアイレスから送られてきた。やがて囚人たちは周辺の森から木材を切り出して、町の建設に従事していった。その際に森林鉄道もつくられた。
 20世紀半ばに刑務所が閉鎖されると、施設の跡地が博物館として利用されることになった。先住民の生活、イギリス人やアルゼンチン人の入植時代が展示されている。もちろん刑務所の様子も残されている。ウスアイア海洋博物館に改装だ。
 マーカー地点。

 参考衛星画像は2023年2月28日。ズームイン。

 観光名所。結構人気があるようだな。

南フエゴ鉄道駅

 当時の森林鉄道は観光鉄道として復活した。マーカー地点は駅。

 参考衛星画像は2022年2月21日。

 右上はゴルフ場。

パンアメリカンハイウェイ

 南北アメリカ大陸を縦断するハイウェイの南端がある。フエゴ島に入ってからは国道3号線となっている。ウスアイアの西、チリとの国境付近の国立公園に終点というか起点というか、「世界の果て」がある。3号線を表示している。マーカー地点。ズームイン。

 参考衛星画像は2023年2月28日。

ウスアイア国際空港

 ウスアイアは南極観光の玄関口の都市として国際的に認められている、世界の5都市のうちの一つ。

 ここから港へ行ってクルーズ船に乗船というわけか。

郊外の住宅地

 町のすぐ後ろは山なので、傾斜地につくられている。道路がスロープ状になっているのがわかる。

クルーズ船

 港、クルーズ船ターミナルの様子。

 世界の南極観光のうち9割の客をここからクルーズ船で運んでいるそうだ。南極との間には、潮流がぶつかり合う海域、船乗りたちが恐れたといわれるドレーク海峡が横たわっている。

 野生動物、氷河など観光の目玉は多いが、「世界の果ての現代美術ビエンナーレ」などのイベントも開催されている。「世界の果て」は強力なキャッチコピーだからね。

注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。

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