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【着物コラム】着物を着ていて体験した素敵な事

こんにちは、着物コーディネーターさとです。

暗いニュースや落ち着かない状況が続いておりますね。
すっからかんのスーパーの商品棚を見ると、よく3.11の事を思い出します。
電気や水道、ガスなどが止まらない点では、今回の方がマシな気もします。
個人的な心がけですが、こんな時こそ通常運転です。

さて、結構前に「着付けを覚えたきっかけ」に少し触れました。
(ライブに浴衣で行きたい、あわよくばイケメンに褒めてもらいたくて覚えたという、結構しょうもない理由です。笑)

他人に褒めてもらうために着物を着ている訳ではないけど、
ストレートな褒め言葉って嬉しいですよね。
着物を着ていると、良くも悪くも、
普段の生活ではあまり無いコミュニケーションが発生する機会が増えるなぁと思います。

今日はそんな「コミュニケーション」の中で、
過去にあった印象的だった事のお話をしたいと思います。



美術館で出会った小さなレディ

あれはいつだったっけ、と思ったらもう2年も前の事でした。
世田谷美術館で開催されていた「パリジェンヌ展」に行った日の事です。

世田谷美術館は最寄り駅から少々離れた場所にあるので、
その日は用賀駅からバスで向かいました。

バスで、5~6歳くらいの女の子と、お母さんと一緒になりました。
一緒とは言え、バスの車両の反対側の座席に座っていたので
「視界に入るなぁ」という程度だったのですが、
なにせ平日で他に乗客もいませんし、私は着物です。笑

バスを降りる直前、
女の子がこちらをじっと見ているのに気がつきました。
バスを降りた時に女の子に話しかけられ、
「お姉さんも美術館行くの?一緒に行こう!!」
とキラキラの笑顔で彼女にお誘いいただき、
結局、お2人と一緒に展示を一巡してしまいました。笑

お母様は「ゆっくりご覧になれないんじゃ…」と言って下さっていたんですけど、
小さなレディと一緒にドレスが見られるなんて大変な名誉ですよ。
本当に楽しかったです。

「今日はどうして着物なの?」と女の子が尋ねてくれたので、
「これは普段着の着物なの、可愛いでしょ(ドヤ)」
とお返事しておきました。笑
七五三の着物のお話をたくさんしてくれました。
彼女にとって着物が、人生の良い思い出の一部になってくれたら、とても嬉しいですね。


浅草で出会った台湾の女の子

もう5年くらい前の事だと思います。
知人と浅草に行ったときに、気が向いて浅草寺に寄りました。

観光客でごった返している場所に着物で立ち寄って、
勝手に正面から写真を撮られたり、外国人観光客に袖を引っ張られたり、
結構な高確率で嫌な思いをしていたので、普段はあまり行かないようにしていました。
でも、その日は知人が行きたいと言うので
「せっかくだから行こう」という話になったんです。

浅草寺の敷地内で、後ろから肩をトントンされました。
振り返ったらヒシャブを被ったアジア人の女の子がいました。
「初めまして、私は台湾から来ました。
私のお父さんとお母さんがあなたと写真が撮りたいと言っています。よかったら写真を撮って下さい」

と、なんと日本語で彼女が言ったんです。すごくびっくりしました。
そんなのOKに決まってる!と写真を撮って、ちょっと立ち話をしました。
日本語はどこで習ったのか尋ねたら、学校の教科に日本語がある、と言っていました。

先にも述べましたが、
観光地で撮られる写真に良い思い出が無かったので、
この頃は、知らない人から求められる記念写真=全部イヤ、と思っていました。
珍しい格好をしているので珍しがられるのは当たり前なのですが、
こちらを人として扱わない人と、そうではない人がいる
という漠然とした事実を認識する出来事でもありました。

しかし、観光で外国に行って、現地人と会話ができるって凄いですよね。
日本が好き、とはにかみ笑顔で言ってくれた彼女の姿が忘れられません。


見ず知らずの赤の他人とのコミュニケーションって、
受け取り方にも個人差がありますし、苦手な人は本当に苦手だと思います。

でも、私は着物を着ていることで、
恐らく普段通りの生活をしていたら知り合えなかった人と、たくさん知り合いました。
私自身の「肥やし」になっているのは間違いありません。