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【着物コラム】他者のために着る服と、自分のために着る服



こんにちは、着物コーディネーターさとです。

先日、アンティークの色留袖を買ったので、
試しにトルソーに着付けてみました。
アンティークの色留袖は、家紋も勿論自分の家の紋ではないので、
私は「遊び」でたまに着用します。
比較対象がないと「遊びって、どこが?何が?」ってなると思うので、
・もしも正式の場所に着るならこんな感じにする
・遊びのコーディネート

2パターンのコーディネートをしてみました。

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実際に「正式の場」に着ることは恐らく無いと思いますが、
なんとなく「遊びのコーディネート」の意味、
分かっていただけたでしょうか?

今回は「留袖ってこんなルールがあるんです!」という解説をする訳ではないので、細かい解説は省略させていただきますが
・金銀の糸が織り込まれた袋帯を合わせる
・帯揚げ、帯締めは礼装用の物を使用する
・末広(扇子)をさす などのルールがある事だけ添えておきます…
少し書いただけのつもりですけど、
これだけでも「ウッめんどくさい…」と思ってしまいますね…笑
着付けがフワフワなのはご容赦下さい…


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他者のために着る着物と、自分のために着る着物


さてさて、本来であれば留袖は礼装です。
私は礼装は「自分ではない誰かのために着る服」だと認識しています。

花嫁衣装や成人式の振袖は、確かに自分のための物でもあるけど、
家族や親族、身近な人に、人生の門出を報告するための物でもありますよね。
親族や友人の結婚式に参列する、お子さんの行事のために着用する、等のケースは、もっとシンプルで分かり易いかもしれません。
着用する人がその式典や行事の主役ではないパターンですし、
「主役の人を立てる」という目的を果たす服を、大体の人が選びますよね。

現代における着物は、この「礼装」として着用される事が一番多いです。
着物に興味がない方も、こういった「人生の門出に着用する着物」は着用したことがある方、多いのではないでしょうか?
様式がキッチリ決まっているのも、こういった目的に最適化しているから、と言えると思います。

一方、私が「遊びのコーディネート」と称した着物は、
この「誰かのために」の部分が特にない機会に着用する着物です。
礼装の着物は様式がキッチリ決まっていますが、
「誰かのために着用する」という目的はないので、
礼装の「あれにはこれを合わせる」という決まり事を無視しています。
「特に守る必要がないから守らなくていいや」というシンプルな理由です。



最近、外出自粛生活でたまにこういう「遊び」をしているのですが、
上記のnoteで書いた「責任感」と、
「誰のために着るのか」というパラメータに少しカブる部分があるな、
と、色留袖を着付けながら思った次第です。

趣味で着物を着始めた方から「着物のTPOは難しい!」と言われたことが数回あるのですが、
誰のために着るのかいう事も念頭に置くと、少し判断し易くなるのかもしれませんね。