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【読書感想文】「チャイナドレス大全」を読んで考えた民族衣装の事

こんにちは、着物コーディネーターさとです。

先日読んだ本がとても面白かったので、勝手に紹介しようと思います。
読んだのはこちらの本です。


えっ、着物がテーマのnoteなのに、
思いっきりチャイナドレスの話?と思いますよね。
でも、これを読み終わったときに思わず着物の事を考えてしまったんです。



このnoteでも何回か説明した事があるのですが、
チャイナドレス=旗袍(チーパオ)は、元々は満州民族の伝統衣装で、
現在の中国で人口が最も多い漢民族の伝統衣装とは違うものです。
プラス、それに西洋テイストがミックスされたもの。

この本はその「チャイナドレス」と、
中国社会の関わりと共に読み解いていく本です。
Amazonに目次の記載があるので、興味のある方はご覧頂きたいのですが、

・旗袍という呼び名はどこから来たのか?
・歴史や定義
・身体表現やジェンダー(社会的性別)との関係性
・文化大革命で起こった変化
・台湾の華人社会と旗袍の関係性
・唐装、漢服との論争について
などの点を、掘り下げて解説しています。

カラー写真は無くて、挿絵や白黒の写真掲載があり、
あとは文字の解説です。

チャイナドレスって中国の服でしょ?
と思われている方も多いのですが、
香港や台湾、マレーシアの華人社会でも定着しているんですよね。
ベトナムのアオザイも明らかに影響を受けていますし。
この本を読んで改めて、日本の民族衣装である着物とはまったく別の歴史を持っている服だと感じました。
日本も完全な単一民族の国ではないけど、
「単一じゃない」の規模が全然違う事を痛感する本でした。

台湾での旗袍の記述では日本統治下で行われた「同化政策」の中での旗袍の記載もあり、
「本島服」とか「シナ服」などのワードも飛び出します。
属しているコミュニティによって伝統衣装の認識も違う!
当たり前の事なのかもしれませんが、この本を読むまでそんな認識をした事もありませんでした。

個人的にアツかったのは、日本のはいからさんが台湾の女学生の服に影響を与えていたとの解説があったことや、
中国や台湾にも折衷ファッションの「モダンガール」がいたという解説でした。
すごく可愛いんですよ…
勿論、1920年代の社会の内側なので、社会の大枠は自力で作れなかったと思いますが、
そういう事も余すことなく解説されていました。

また、メインで解説されているのは旗袍なのですが、
現代の漢服ブームの話や、国民服の話まで登場します。
中国の服飾に興味のある人は一読の価値があると思います。
めちゃくちゃオススメです。

実は最近、旗袍に興味があって、
色々調べていたところだったので、この書籍との出会いは本当に嬉しかったです。
私が着用しているのはポリエステルの改良型の旗袍ですが、
上海モダン風の旗袍、タオバオで普通に売ってるんですよね。
これからレトロファッションとして定着する可能性もあるかもしれません。
今後どのように発展していくのか、とても楽しみです。