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【着物コラム】着付けとマナーは別問題?


こんにちは、着物コーディネーターさとです。

最近、儒教の勉強を始めました。
「しっかりした教養」として定着している「論語」ではなく、
「儒教」という教義そのものの概要を知るために本を読んだり調べ物をしています。

以前からnoteでも「ファッションは社会だ」と繰り返し書いていますが、
社会を形成するものの一つに「道徳」「社会通念」などの思想がありますよね。
色々な経験を経て、その「思想」の根源を知るために儒教の勉強を始めた訳ですが、
着物って現代社会では「習い事」の一つなんですよね。
このnoteを読んで下さる方も、「着物って難しい」とお思いの方が大半かもしれません。

でも、どうして難しくなったのかは誰も教えてくれないんです。
着物という存在自体が「教義」であってくれたら、
着物を売る人達は教義を広めるところからスタートできますよね。
要するに、この「教える」と「販売」がセットでできるのが、
売り手に都合がいいのだと私は思っています。




さてさて、私はよく
着付け教室情報を聞かれるのですが、正直に言えば、
普段着に着る程度であればオススメしてません。
私自身、着付け教室に通っていませんしね。
オススメしない理由については過去にコラムを書きました。


現代はインターネットのおかげで、
普段着る程度であればYoutubeなどでも着付けの手順くらいは分かると思います。
ただ、それ以上何かを得ようと思うと「教室」に通うしか選択肢がなくなるのですが、
この「教室」がなんとも厄介だなぁ、と最近思うようになりました。


着付け講師=マナー講師


こいういった「教室」では、
着付けという技術と共に大体「着物の格」「TPO」も教わります。
これって現代社会において着物が当たり前の存在ではないから教える
という理由も多々あると思います。

着物の世界のドレスコードを、現代日本において当たり前である洋服と、
「どのラインを同格と見なすか」という事を、
着付け教室で教えてくれているわけです。
「着付け教室」なのですから、
本来なら着付けの技術を教えるのみでも良いような気がするのですが、
結局この問題をクリアしないと「着用する」に至らないので、
着付け講師がマナー講師も兼任しているのが現状だと思います。

本来なら「TPO」とかって個人で判断する事だと私は思うのですが、
「この着物はどんな時に着用すればよいのでしょうか」
「こんな場所に行く時はどんな着物を着ればよいのでしょうか」
という状況判断ができない人・するに至るほど自信のない人達を、
着付け講師側がカバーすることになりますよね。

マナーって結構地域によって差があったり、
勿論、状況によっても変化しますよね。
その人にとっての「常識」は自分にとっての「常識」なのか、
着物の世界の常識と、自分の常識の整合性を自分で取れるよう、
尽力してくれる着付け講師って、
ハタから見ていて、すごく少ないように思います。
もっと言ってしまえば、
「コレを守ればOK!」とPV数目当てで煽る人が増えた気がします。

当たり前と言えば当たり前です。
本来着付け講師・着付け師を名乗る人達が修了しているのって、
あくまで「キレイに着付けをする技術」の範囲ですよね。
マナーとかTPOって付いてきているだけです。

着付け講師とマナー講師の兼任って、親切で便利なのかもしれません。
でも「あの先生がこう言っていたから大丈夫」
と盲信するのって案外危険だと私は思っています。
本来であれば、場に合った服を選ぶのも個人の力量であって、
自分の力でそれが出来るように教えるのが「師」なのでしょうが、
業務の範囲としてそこまで付き合える技術職の人って、
そうそういないのが現状だと思います。

何事にも共通する事ですが、
「noteやYoutube、Twitterに自分だけの答えはない」
が真理なのではないでしょうか?
自分個人の答えは、結局自分で考えて判断するっきゃないんですよ。
先生が答えてくれて解決するケースもあるでしょうが、
万人向けの答えが自分に合ってるかどうか、
考慮の上で最終的にジャッジするのも自分です。