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文字に体温を

月1回程度、クロッキー会に参加しています。クロッキーは速写(そくしゃ)と言われるように比較的短い時間で対象であるモデルや動物などを描くことです

学生時代に学校で描いたりしていました。
会といっても平面や彫刻家、デザイナーなど専門はさまざまで、2時間ほどの時間は小刻みに2分~3分毎のポーズ中黙々と描いています。

それぞれが見せ合うこともなく、批評等もなく、画材も各々が好きなものを使用して描く時間を共有している。という淡々としながらも心地よい時間と空間。
お互いが人の事には必要以上に踏み込まず、集中しているからでしょう。

ほとんどが作家なのですが、描いていたクロッキーをどのように作品に落とし込んでいるか?もしくはただ描いているだけか?は聞いたことがなく分かりません。

私がなぜ参加しているか?というと当初は書道とクロッキーの持つ速写が近い行為だったからだったような。

書道は紙に向かって筆を動かし1回でも書くとやり直しは効きかず。だめならばまた新しい紙を出し、書いていくという行為と2~3分間にモデルを描く。
塗り重ねたり、修正しながら。削りなおしながら。に比較すると1作品に対して掛ける時間経過が格段に短いというところに共通点があり、線の芸術といわれる書道を選んだ自分としては、線を鍛えるため。が当初参加したきっかけでした

始めるきっかけが長くなりましたが。
「人」という文字は横から人を見た図から出来た文字と言われています。


文字は象形文字から出来上がってきた歴史があり、見た目からだんだんと抽象化されてきた経緯が成り立ちです


ある時からモデルのポーズを描いている時、「人」という文字の成り立ちをふと思い出し、それまでアウトラインを追いかけて描いていたのを筆の特性を活かし骨格中心に描いてみよう。と思い始めてみました

伸びやかなポーズの時はどれだけ呼吸の長い線でこのピンと張った筋肉をだそうか?

うずくまるようなポーズの場合には塊のようなイメージで。
片足に力が入って立っている時はその柱となる脚と軽くのばした脚のやわらかさを線で違いをだしてみたい

なだらかな身体の美しいラインを迷うことなく流れるように描く


他の人が見ると抽象作品のようにも見えるかもしれませんが、「人」という文字を書く時に左右の線のバランスよく広げた形ではなく、人それぞれの意思があり、体温が感じられるようであり、抽象化された文字「人」が感じられるような仕上がりです。


普段から書道の作品に取り組む時も『文字は柄。』という意識が強い
逆にクロッキーを描いていると、絵というより文字よりになっているような気がします。
いろいろな作家の方が身近にいるおかげで、画材や材料など自由に取り入れていく環境があることアイデア・発想に繋がっていく

同じ場所ばかりでなく、違う道や新しいことに積極的に触れていけると良いんじゃないかな。



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